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[選手権]香芝、“背番号2のFW”と“奈良の怪物”の2年生コンビがリベンジ誓う

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[12.31 全国高校選手権1回戦 座間1-0香芝 ニッパ球]

 ゴールが遠かった。初出場の香芝(奈良)は徹底したカウンター攻撃を繰り出したが、前線へのパスに精度を欠いて、攻撃陣がシュートまで持ち込むのに苦労した。結果、相手の半数のシュート4本で0-1の完封負け。選手たちは悔しそうな表情で会場を後にした。

 とはいえ、収穫もあった。背番号2の“異色のFW”と194cmの“奈良の怪物”だ。この日は4-5-1を採用したが、1トップを務めたのは背番号2でDF登録の濱武亮太(2年)だった。メンバー表は、GKの下に記載され、大半の人が驚く布陣だった。事実、県予選の決勝などではスピードを活かした守備と、鋭い攻撃参加を売りにした右SBだった。

 実はもともとはFWの選手だが、その身体能力の高さに加え、右SBの人材が不足していたことからコンバートされていたのだ。米原勝監督は「もとはFWですが、うちは普段からいろんなポジションをやらせています」と話す。それがDF高塚泰弘(1年)の急成長により、この大会の直前にようやく本職に戻ってくることができた。

 「戸惑いはなかった。FWをやりたかったので、良かった」という濱武は、50m6秒2の快足を活かして前線を走り回った。打ったシュートはチーム最多の2本。彼にボールが入ると、カウンターに鋭さが増した。周りのサポート、好パスがもっとあれば、点も取れたと感じさせるプレーだった。

 そして後半開始から出場した194cmのFW柳智幸(2年)だ。両チームの先発平均身長が約173cmだっただけに、余計に高さが際立った。「県予選はメンバー外で、スタンドで応援していました。この大会前にメンバーに入れた」というだけあって、まだまだ個人的にもチームとしての活かし方も粗削りなところがあったが、FC東京のFW平山相太のように、ポストプレー、ヘディングで座間守備陣に脅威を与えた。

 彼らはまだ2年生。今回初出場だったが、来年へのリベンジに燃えている。「もっと積極的にシュートまでいかないといけないと思った。もっともっと厳しい練習をして頑張りたい。(飛び込む)ヘディングが得意ですが、もっと上手くなりたい」と濱武は前を向いた。

 柳も「点を取れなかった。3年生に申し訳ないです。ヘディングに競り勝って、もっとチャンスを作れるようにしたい。ゴールへの姿勢を強くしたいです」とさらなる成長を誓った。この日悔し涙を流した3年生たちのリベンジも果たす-。2人の眼にはそんな強い決意が感じ取れた。

[写真]リベンジを期した濱武(左)と柳。※写真は合成
(写真協力 『高校サッカー年鑑』) 

(取材・文 近藤安弘)

【特設】高校選手権2010

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