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[選手権]策士の采配ズバリ!作陽が“アタッカー”高瀬V弾で逆転勝ち

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[1.2 全国高校選手権2回戦 佐野日大1-2作陽 NACK]

 第89回全国高校選手権大会は2日、各地で2回戦が行われ、NACK5スタジアム大宮の第2合では6連続19回出場の作陽(岡山)が7ぶり6目の佐野日大(栃木)を2-1の逆転で下した。

 作陽の野村雅之監督が「蹴り合戦」と評した一戦は、立ち上がりからお互いに中盤を省き、ロングボールを蹴り合う試合展開に。そんななか、先にゴールを奪ったのは佐野日大だった。

 15分、MF須賀智哉(3年)のスルーパスに反応したFW中山翼(2年)が「須賀から良いボールが入ってきて、ファーストタッチでファーサイド(のシュート)を考えた。GKがニアにいたのが見えた」と冷静に相手GKの動きを見てゴール左隅に決めた。

 作陽は佐野日大の厳しいチェックと守から攻への素早い切り替え、そしてフィニッシュまで持ち込むスピードの速さに苦しんだ。「相手の前線は若くて思い切りがあってやりづらかった」とは野村監督。本来は中盤の底からパスを散らして攻撃の起点となるボランチのMF高瀬龍舞(2年)も「つなごうとしても相手のチェックが速くて取られてしまって、それを恐れて思うようにつなげなくなってしまった」と振り返ったように、司令塔の仕事が全くできなかった。

 それでも28分、作陽はMF須藤翔大(3年)がDFラインの裏にボールを入れると、佐野日大GK長島弘昂(3年)が処理し切れず、こぼれ球をMF増田一輝(3年)が押し込んで何とか同点に追い付いた。

 しかし、試合の主導権を握ったのは佐野日大。床井直人(2年)、郡司博信(3年)の両サイドハーフを起点にボールがつながるようになり、作陽は劣勢を強いられる時間帯が続いた。

 ところが、1の采配がゲームを動かす。野村監督が「高瀬のほうがシンプルなパンチ力があるので、一つ前に上げた」とトップ下の山本直輝(2年)に代えて岸田啓介(3年)をボランチに投入し、代わりに高瀬をトップ下に上げると、これが当たった。

 交代から6後の後半35分、DF中村翔(3年)の右からのクロスを増田がゴール前で胸トラップで落とすと、2目の高瀬が「絶対に決めようと思って思い切って打った」と右足を一閃。強烈なミドルがゴール右隅に突き刺さった。

 野村監督が「今日は酷かった」と振り返ったように、内容では見るべきポイントがほとんどなかったものの、作陽は策士の采配がピタリと当たって辛くも勝利を収めた。

(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 FBN)
【特設】高校選手権2010

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