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[選手権]エース清水が2発! 西武台が作陽にリベンジし、埼玉県勢10大会ぶりの8強

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[1.3 全国高校選手権3回戦 作陽0-2西武台 NACK5]

 第89回全国高校サッカー選手権3回戦が3日に各地で行われ、埼玉・NACK5スタジアム大宮の第一試合では作陽(岡山)と地元の西武台(埼玉)が激突した。昨年度大会の2回戦でも戦い、当時は作陽が2-1で勝利しているが、西武台は大宮アルディージャ内定で、2戦連発中のエースFW清水慎太郎(3年)が2ゴールを決めて2-0勝利。同校初、埼玉県勢としても10大会ぶりのベスト8進出を決めた。

 「去年負けているので、作陽には絶対に勝ちたかった」。西武台の選手たちが口々に明かす、強いリベンジの思いを抱いていた一戦。前回大会のみならず昨年9月の練習試合のときも1-2で敗れており、今度こその思いが強かった。

 そんな中、立ち上がりから西武台イレブンが積極的にプレスをかけ、遠目からシュートに行くなどアグレッシブなプレーを見せた。そして、9月の練習試合試合は風邪で欠場したというエースが、仲間の気持ちを具体化した。

 前半22分、FW清水慎太郎(3年)が華麗なプレーで貴重な先制ゴールを奪った。DF澤本玲(3年)の浮き球パスに飛び出すと、ゴールに背を向けながらも左足トラップから上手く左に反転し、右足でシュートを放った。「完璧でした。裏に来るかなと思ったら、足下に入った。一発行っとこうと思って打ったら点が入った。良かったです」。エースの3試合連続弾でチームは勢いに乗った。

 ましてや試合会場は地元・埼玉のNACK5スタジアム大宮。県予選の準決勝でもプレーしており、まさに“ホーム”の感覚でプレーしていた。守屋保監督も「1、2回戦が埼玉スタジアムで、今度はNACK5スタジアム。こういう場所でできて幸せに感じていた」と明かしたが、選手は大応援団をバックにし気合十分で、その後も前線からの連動した守備を披露した。

 作陽は持ち味のショートパス、そしてMF増田一輝(3年)やMF森貴大(3年)のアタッカーが果敢に仕掛けて好機を探した。バイタルエリアが崩せなかったため、セットプレーも活かそうとする。前半14分、左サイドで得たFKに182cmのFW岩崎優(3年)が頭を合わせる。しかし、DFに当たりCKになってしまった。同16分には岩崎がPA左を突破してシュート放ったが、これはわずかに左に外れた。さらに同38分にはDF中村翔(3年)が右サイドをえぐるが、ゴールにはつながらなかった。

 それでも後半に入り、テクニックに勝る作陽は徐々にリズムをつかみ始める。後半4分にはDF浅田有佑(3年)に代えてMF山本健奨(2年)を、さらに同7分には増田に代えてFW須藤翔大(3年)を投入。巻き返しを狙ってきた。そんな中、再び西武台のエースがゴールネットを揺らした。

 後半21分、左サイドを突破したMF阿部祐希(3年)のクロスに、清水が飛び込んでしっかりと頭を合わせ、2-0とリードを広げる一撃を決めた。「いいボールが来ました。点が取れてよかったです」。今大会4得点目は相手が乗りかけた中でのゴールで、試合大勢を決める貴重な一発となった。

 終盤、作陽が効果的なショートパスをつなぎはじめ、西武台を押し込む時間帯もあったが、町山阿記(3年)らを中心としたDF陣が粘って2-0で勝ち切り、リベンジを果たした。清水個人も昨年は途中出場で無得点に終わった今年は2ゴール。「去年、作陽に負けた時、先輩たちに絶対に国立に行けよと言われていました。練習から妥協せずにできたことがつながった」と満面の笑みを浮かべた。

 NACK5スタジアム大宮は清水にとって、来季から“真のホーム”になるが、県予選の準決勝・武南戦の2得点に続き、これで今季は2戦4得点と相性の良さをみせた。清水は「ここはプレーしやすいです。ここで負けていたら、悪いイメージで(大宮アルディージャに)いくことになっていた。自分にとっては良かった」。そんなエースに守屋監督も「びっくりするくらいのファンサービスができましたね。勝負強いというのは、サッカーで飯を食っていく上で一番大切なこと。勝つ喜びを感じて、より努力ができる人間になってくれると思う」と目を細めた。

 準決勝を懸けた次の対戦相手は立正大淞南(島根)となった。「次勝てば念願の国立? 自分は先をみるとダメなので、1試合1試合に集中したいです。今日もほかに決定機があったけど決められなかった。またしっかり決められるようにしたいです」と清水はさらなる活躍を誓った。試合会場はNACK5スタジアムからフクダ電子アリーナに変わるが、関係ない。絶好調のエースが再び勝利に導く。

(写真協力 『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 近藤安弘)

【特設】高校選手権2010

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