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[選手権]「勝ちロコ」をあと3度!立正大淞南が歴史塗り替える

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[1.3 全国高校選手権3回戦 立正大淞南5-1新潟西 西が丘]
 
 立正大淞南が島根県勢初の全国ベスト8進出を果たした。第89回全国高校サッカー選手権3回戦で立正大淞南は新潟西(新潟)と対戦。後半の5ゴールにより5-1で勝利した。立正大淞南は5日、島根県勢初となる準々決勝で西武台(埼玉)と対戦する。

 東京の空に立正大淞南勝利の儀式「勝ちロコ」がこだました。試合終了後に「勝ちロコ」を踊るのは県大会決勝で開星に勝利して以降、これで4回目。全日本ユース選手権決勝トーナメント1回戦で清水エスパルスユースに敗れた際、勝者たちがサポーターと一緒になって踊っている姿を見て自分たちの勝利の儀式として取り入れたという立正大淞南は、島根県勢初の8強進出の喜びを誰よりも支えてくれてきた応援団たちと分かち合った。この日ダメ押しの5点目を決めたCB中村謙吾主将(3年)は「自分たちに負けて涙している島根県の選手のためにも頑張ろうと言ってきた。素直にうれしいです」と笑顔だった。

 今大会5ゴールで得点ランキング首位のMF加藤大樹の4本を筆頭に前半放ったシュート数は何と20本。次々とドリブルで仕掛けて決定的なシュートへ持ち込んでいたが、シュートがゴールマウスを叩いたほか、また新潟西の粘り強い守りにも阻まれ得点を奪うことができなかった。それでも後半7分、全国高校総体得点ランキング2位のFW新里大地(3年)が右足で先制ゴールを叩き込むと、次々と得点を重ねて5得点。これまでは加藤1人でチームの全得点を挙げていたが、この日はMF小田悠太、FW池田拓生(ともに3年)、加藤、そして中村と5選手による得点だった。エースひとりの力でなく、どこからでも得点を奪うことができることを実証した。

 後半32分に新潟西FW吉川武志(2年)の左クロスをFW山川翔也(2年)に頭で合わされ1点を失ったが、それでも最後までアグレッシブに攻める姿勢が持ち味のチームはシュート計28本の怒涛の攻撃で快勝。南健司監督は「やってくれるんじゃないかと思っているけどうれしかった。国立に行ける挑戦権を得られたのがうれしい」と会心の笑みだ。

 これまでチームは選手権で2度3回戦敗退。中国地方屈指の強豪という地位を確立しているが、選手権での上位進出はなかった。Jクラブがなく、高校サッカーでも突き抜けた結果を出していない島根は“サッカー後進県”と見られがち。ただ、今年はその評価を覆して全国制覇することを本気で狙っている。中村謙主将は言う。「(監督の)南先生は非現実的なことを言わない。去年もまず1回戦、という話でした。でも今年はインターハイの1ヵ月前、『今年は全国制覇できるチーム』と言われた。これで自分たちは自信を持つことができた。ボクらはこれまで島根で勝てば満足してしまっていた。でも今年は違います」。

 全国高校総体では今回と同じ8強。敗れたものの優勝した市立船橋(千葉)を2-3と追い詰めた。そして全日本ユース選手権では1次ラウンドで4強進出した静岡学園(静岡)を下している。すでに実力が全国上位にあることを示しているが、今回優勝という形で実証する。先制点の新里も「(ベスト8は)まだ通過点。全国制覇したい」と言い切った。国立の準決勝まであと1勝。そして日本一まであと3勝だ。この冬、チームは勝利の儀式「勝ちロコ」をあと3度舞う。

(写真協力 『高校サッカー年鑑』)  
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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