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[MOM414]久御山GK絹傘新(3年)_空手全国3位GKが勝利決めるPKセーブ!

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.5 全国高校選手権準々決勝 久御山 1-1(PK4-3)関西大一 三ツ沢]

「PKの時は何も考えていなかった。でもみんな笑って名前呼んでくれていた。ベンチから念を送ってくれているのも見えていた」。笑顔の久御山イレブンの視線の先にいたGK絹傘新(3年)。彼のセーブが久御山を初の国立へと導いた。

 3-3で5人目へ突入したPK戦、先攻の関西大一のキッカーは鹿島アントラーズ加入が内定しているMF梅鉢貴秀主将(3年)だった。相手は普段チームでPKキッカーを務めている名手。ただ大会前に米子北(鳥取)と行った練習試合で5人目を止めていたという絹傘はコーチからの「最後まで我慢してから跳ぶ方向を判断する」という指示を実践し、梅鉢のキックを左に跳んで両手でセーブした。
 「シュートのコースはあまりよくなかったですけど、うれしかった」。直後に久御山の5人目、FW安川集治(3年)が右足シュートを沈めると、チームメートは絹傘目掛けて一直線に走り寄せた。

 小学1年から中学3年まで続けてきた空手で全国3位になっている実力者。瓦割りすれば問題なく10枚割るという拳は厚く力強い。その空手はこの試合でも好影響をもたらした。「体の強さと反射神経。そして(ゴール前での競り合いになっても)怖がらないのが一番いい」。大晦日も宿舎の部屋で「Dynamite!!」をテレビ観戦していたという格闘技好きでもある守護神は、何とか勝ち越そうと攻めてくる関大一の攻撃に対して強気な姿勢を全く崩さず、守りきった。そしてPK戦での大仕事によって“京都の若島津”は「ヒーロー」になった。

 聖地・国立競技場で行われる準決勝はチームリーダーのCB山本大地主将(3年)が累積警告のために出場停止。大きなハンデを背負った状態でV候補筆頭の流通経済大柏(千葉)戦に臨むことになる。だが絹傘は「やるしかない。大地のためにもというのもある。開会式の分(リハーサルでのパフォーマンスについて大会本部から警告)も、やるときはやるというところを見せたい」と誓った。

 空手ではそれまでベスト32や、ベスト16の壁に悩まされながらも最終年だった中学3年時に全国3位。「空手もサッカーも最後の最後でいい結果が出る」と微笑んだ守護神が、準決勝でも自身の好守で勝利し、空手の自己ベスト・全国3位を上回る。

(写真協力 『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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