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[大学選手権]関西大・藤澤、中京大・藤牧ともに「コンディション調整は難しかった」

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[1.5 全日本大学選手権決勝 中京大1-2(延長)関西大 国立]

 関西大が43年ぶりの優勝に輝いた今年度の全日本大学サッカー選手権大会だが、日程の影響で涙を呑んだ選手がいたのは確かだ。今大会は12月18日に開幕。9日間で3試合を行い、そこから9日間空けて年をまたぐ形で5日に決勝が行われた。

 決勝進出を果たした2校には“ノッている”選手がいたが正月を挟んで、その勢いを持続させることはできなかった。関西大のFW藤澤典隆(4年)と中京大のFW藤牧祥吾(3年)。彼らは共にここまで最多の3得点を決め、大会MVPに値する活躍をみせていた。しかし、日にちが空き、これまでの勢いを断ち切られて迎えた決勝では、本来のパフォーマンスを発揮できないまま、終わってしまった。

 この日の試合後に藤澤は「今日の(プレー)を見てもらえれば分かると思うのですがコンディション調整は難しかった」と話し、藤牧も「気持ち的に1回熱が冷まってしまう。言い訳になってしまうけど調整が難しかった」と話した。

 藤牧に至っては、今大会最も波に乗っていたFW。3戦連続で得点を挙げると、毎試合ゴールパフォーマンスを繰り出し、決勝の場でも宝塚を真似たパフォーマンスをやろうと前日のチームミーティングで全員に発案。練習まで重ねていた。しかし、それも出せずじまい。「チームに申し訳ない。あれだけシュート外して、もう坊主にします。反省して、やる気なんだなっていう意欲をまた見せないと……」と意気消沈していた。

 また、現在4年生で進路の決まっていない藤澤にとって決勝の舞台は、自らの力で未来を切り開く最後の機会。しかし「決勝でいいプレーができなかったのが悔しい」という結果に終わった。今の段階で自身の耳に入ってきている進路先は、JFLの2チームのみ。「Jへ行きたい」と話す藤澤の活躍を認めてくれたスカウトはいたのかどうか。朗報を待つのみだ。

 同日行われた高校選手権・準々決勝のフクダ電子アリーナには、第1試合に6359人が駆けつけたが、大学選手権は東京・国立競技場での決勝にもかかわらず、約5519人の観衆だった。それも関東大学リーグの選手たちが動員されているため、純粋な観客数はさらに少ないといえる。正月の風物詩となっている高校選手権と同日開催になったことで、観客も減り、スカウトも各会場に分散することになったことは容易く想像できる。

 「大学4年間で何かおもいきったことができるのは自分の人生の中で幅になる、サッカーで得たものを人生に活かして、幸せになってもらいたい」とは関西大の島岡健太監督の言葉。4年間ひとつのことに必死に打ち込んできた選手たちの最後の晴れ舞台。より良い環境を与えてあげたい。

[写真]ボールキープする藤澤

(取材・文 片岡涼)
第59回大学選手権特集 

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