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選手を称えるザック、「10人で11人のような戦いを見せてくれた」

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[1.13 アジア杯B組 日本2-1シリア カタールSC]

 渾身のガッツポーズが、いかに苦しい試合だったかを物語っていた。試合終了のホイッスルが鳴り響くと、アルベルト・ザッケローニ監督はベンチ前で右こぶしを力強く握りしめた。

 「チームの出来には満足している。シリアは初戦で勝ち点3を取り、勢いに乗っていた。ブロックをつくってくる相手に対しバイタルエリアでパスをつなぐこともできたし、攻撃のバリエーションが増えた。結果と内容には満足している。この内容なら、勝利は当然だと思う」

 就任から4試合で、いまだ負け知らず(2勝2分)。この試合が公式大会での初勝利となったが、「集中していて気付かなかった。頭の中にはサウジアラビア戦のことしかなかった」と淡々と受け止めた。

 疑惑の判定でGK川島永嗣が退場となり、PKで同点に追い付かれた。それでも、数的不利に立たされたチームは勝ち越しに成功し、勝ち点3を獲得。「10人で11人のような戦いを見せてくれた。頼もしく感じた」と選手を称えた。

 主審の判定には「レフェリーは日本のバックパスだったと言っているが、我々はそれはないと思っている。ああいった形で試合をゼロから始めてしまった」と苦言を呈したが、「もうひとつの反省点はあれだけチャンスをつくっていたのだから、審判云々ではなく、日本が早めに試合を決めなければいけない」とチームを戒めた。

 17日のサウジアラビア戦で引き分け以上ならグループリーグ突破が決まる。しかも、相手は2連敗ですでに敗退が決まっている。それでも「失うものがないチームとやる試合では何が起こるか分からない。勝ち点0で自分たちの国に戻りたくないだろうし、大会前は優勝候補だった。リスペクトして臨みたい」と手綱を引き締めた。

 結果は辛勝でも、試合内容がヨルダン戦より良くなってきたのは確かだ。若いチームにとって、主審の判定を含め、こうした厳しいゲームを勝ち切った経験も大きい。「親善試合もなく、フィジカルコンディションに不安があったが、徐々に良くなっている。準備は遅れていたが、この大会をチームの成長のために有効利用したい。前に進み、できるだけ多くの試合をして成長の舞台にしたい」。一歩一歩着実に。ザックジャパンは進化の階段を上っていく。

[写真]日本代表ザッケローニ監督

(取材・文 西山紘平)

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