beacon

初めて見せた優勝への意欲、ザック「ここまで来たら勝ちたい」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[1.25 アジア杯準決勝 日本2-2(PK3-0)韓国 アルガラファ]

 優勝をはっきりと視界に捉えた。韓国との激闘を制し、2大会ぶりの決勝進出。「この大会に求めてきたものは経験だった。しかし、ここまで来たら勝ちたい」。大胆な世代交代を敢行し、チームの成長を最大のテーマに掲げてきたアルベルト・ザッケローニ監督が初めて優勝への意欲を口にした。

 21日の準々決勝・カタール戦に続く逆転勝利。9日のヨルダン戦(1-1)も先制を許し、後半ロスタイムにDF吉田麻也が同点弾を決める苦しい展開だった。13日のシリア戦(2-1)、カタール戦は10人で競り勝った。この日も2-1の延長後半15分にまさかの失点。さまざまなアクシデント、逆境を乗り越えてきた。奇跡もこれだけ続けば、それは実力か。劇的な展開で宿敵を下し、チームの力を確信した。

 「日本にはグループの輪がある。チームが一丸となって戦う姿勢を見ることができる。チームが1つになって戦うのは日本の精神だと思う。選手は私の考えを吸収し、実践する力もある。練習を見ていても楽しいし、もっともっとピッチの上で実践してくれればと思っている」

 4-2-3-1を基本布陣として戦いながら、この日は1-1の後半42分にMF細貝萌を入れ、MF遠藤保仁をアンカーに置く4-1-4-1に変更。2-1とリードした延長前半ロスタイムにはDF伊野波雅彦を投入し、5-3-2にシフトした。

 伊野波が「練習ではやってない形で、(ピッチ上の選手に)伝わるのに時間がかかった」と振り返った通り、急造布陣は選手の混乱を招き、延長後半15分の2失点目につながったが、結果的にはこれも安い“授業料”だったかもしれない。

 ザッケローニ監督は4-1-4-1への変更について「チームにとって要になるのは中盤。そこで常にバランスを取らないといけない。選手が消耗してきて、チームが間延びし、前でキープできない状況だった。中盤でスペースをつくらせないために細貝を入れた」と説明。5バックについては「試合の最後は向こうがフィジカルで押してきた。それに対応するため、エリア内を固めるためだった。それでも、うちは前に2トップを残していた」と力説した。

 限られた時間の中で、哲学やコンセプトのすべてを選手に浸透させることはできない。その意味で、実戦で試せたことはチームにとって貴重な経験となった。

 29日の決勝で対戦するオーストラリアも、フィジカルで日本を上回るチームだ。リードする展開になれば、終盤は再び5バックに変更する可能性もある。MF遠藤保仁は「5バックだと中盤が少なくなるし、高い位置でプレスをかけられなかった。そこはもう少し話し合っていきたい。オーストラリアもロングボールが多い。そこを考えながら対応したい」と言った。この日は逃げ切りに失敗した。だからこそ、決勝で同じ過ちを繰り返すつもりはない。

[写真]PK戦の前に指示を出すザッケローニ監督

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
アジア杯2011特集

TOP