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藤本“アシストデビュー”も「点を取りたかった」

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[2.26 富士ゼロックススーパーカップ 名古屋1-1(PK3-1)鹿島 日産ス]

 新しい“武器”が上々の公式戦デビューを果たした。清水エスパルスから名古屋グランパスに新加入した日本代表MF藤本淳吾が左MFで先発。後半9分のFKのチャンスでは得意の左足でDF増川隆洋の先制ヘッド弾をアシストするなど存在感を発揮した。

「自分で点を取りたかったけど、アシストができて良かった。後ろで阿部が“やさしくストレートで蹴れば”と言ったので、その通りに蹴った。マスさん(増川)、トゥーさん(闘莉王)、ジョシュア(ケネディ)の3人が外から入ってくるのは分かっていたので、そこに合わせる感じで蹴った。ゴールキーパーが出てこれないギリギリを狙った」

 右サイド、やや遠めで得たFK。得意のカーブをかけたボールではなく、仲間のアドバイス通りストレート気味のものを蹴った。ボールは狙い通りのコースへ飛んで行く。思惑通り、鹿島GK曽ヶ端準が少し前に飛び出したが、増川がうまく飛び込んで頭を合わせた。名古屋にとっては昨季、天皇杯を含めて3連敗した難敵・鹿島だが、その“壁”をレフティーが打ち破った。増川も「いいボールを蹴るのは練習を見ていて分かっていた。ボールの精度が高かった。これからもっとパターンが増えれば」と称え、さらなる期待を寄せた。

 “藤本効果”はセットプレーだけではない。昨年の名古屋は、ケネディを目掛けたロングボールやサイドFWの玉田圭司、金崎夢生の個人技に頼るところが多かったが、2列目でコンビを組んだ小川佳純は「去年はサイドからが多かったけど、今までの名古屋と違って、中でワンツーで崩したりとか幅が広がった」と明かす。藤本はパスを出したり、その後、前線に飛び出したりすることもできるため、攻撃のバリエーションが増えたという。そして、この日も何度か見せたが、正確なサイドチェンジも備える。藤本が元来の名古屋の攻撃サッカーに“幅”を与えている。

 ストイコビッチ監督も「テクニックが素晴らしい。彼が入ったことで我々は昨年より良くなった。インテリジェンスで、頭を使うプレーをするが、私としても好きなプレーだ」と絶大な信頼を寄せる。名古屋はJリーグ連覇はもちろん、ACL制覇も狙っている。藤本は「もっとシュートを打ちたかった。シュートが0本だったんで……。自分で点を取りたかった。もうちょっといいパスをだせると思うし、個人の特徴を出していきたい」と満足していないが、名古屋が“二兎”をつかむためにキーマンとなる一人が、藤本であることは間違いない。

「ACLは楽しみですね。(移籍した)理由の一つでもあるんで。きょう一番良かったのは勝ったこと。次も頑張ろうという気持ちになる」。ACLはさっそく3月1日に敵地で杭州緑城(中国)戦を迎える。まずまずのスタートを切ったレフティーが見据える目標は高い。この日のように高精度のキックでアシスト、そしてゴールを決めて再び勝利に貢献する。

[写真]名古屋MF藤本

(取材・文 近藤安弘)

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