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ありえない!GK楢崎がPK横っ跳びキャッチのファインプレー

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 PK戦4本中3本を止めた。流れの中でもファインセーブを連発し、チームを最後尾から鼓舞した。昨年の公式戦で3戦全敗を喫した鹿島を相手に、Jリーグチャンピオンチームが誇る守護神楢崎正剛が示した存在感は、さすがの一言だった。

 圧巻はPK戦だ。名古屋の一人目、ケネディの失敗で不穏なムードが漂いかけていた中、まずは鹿島の一人目、岩政大樹のシュートを弾く。

 二番手の本山雅志には決められたが、三番手のアレックスを前に楢崎は微動だにせず、相手のアクションを待った。するとズバリ読みが的中。アレックスの蹴ったボールは左側に横っ跳びした守護神の手の中にすっぽりと収まった。弾いたのではない。完全なキャッチだった。

 ゴール正面ならいざしらず、ポストすれすれの位置でのキャッチ。3万5963人を飲み込んだスタジアムが大きくどよめく。まるで漫画の世界のようなファインプレーに、楢崎は「昨日の練習、見ていないでしょ。闘莉王のキックをキャッチしていたんですよ」と不敵な笑みを浮かべながらも、「公式戦でキャッチしたことがあるかどうか? あまり覚えていないですね。でもたまたまですよ」と相好を崩した。

 初のリーグ優勝を飾った昨季だが、鹿島には天皇杯も含めて一度も勝てなかった。楢崎自身はあえて意識せずに試合に臨もうとしていたが、ミーティングでストイコビッチ監督に「リベンジを果たそう」と言われ、秘めた闘志に火がついたという。

先行の名古屋が二人目の藤本、三人目の三都主アレサンドロ、四人目の小川佳純と続けて成功させると、楢崎は鹿島の四人目、新井場をストップ。実に三人のPKを止め、勝利を呼び込んだ。

 まさに昨季JリーグMVPにふさわしい活躍。それでも、「去年は去年。そんなに意識はしない。いつもチームを救っていけるようなプレーをしたい」と素っ気ないのが楢崎らしいところだ。失点がセットプレーでの1点のみだったと言われても、「流れでも何でも1点は1点」と厳しい表情を見せたのは、リーグ連覇とACL制覇という高い目標があるからゆえのこと。17年目の守護神は、いつまでもハイレベルな位置を見据えて闘いを続ける。

[写真]PK戦で活躍した名古屋GK楢崎

(取材・文 矢内由美子)

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