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C大阪ピンパォンが圧巻の2発デビュー。「決められるとは思ってなかった」

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[3.2 ACL GL第1節 C大阪2-1アレマ・インドネシア 長居]

 サッカー歴約3年の“謎の助っ人”が“アジア初勝利”をもたらした。セレッソ大阪のブラジル人新助っ人FWホドリゴ・ピンパォンだ。本拠地サポーターの前で“名刺代わり”の2ゴールを決めて喜ばせた。

 まずは前半14分、MF乾貴士の左クロスにファーサイドで頭であわせ先制点を奪った。デビュー戦でのゴールに勢いづくと、PKで同点に追いつかれたあとの後半30分には、MF中後雅喜のFKにタイミングを見計らい飛び出し、ニアサイドに飛び込んだマルチネスをおとりにして、ゴール正面から右足つま先で貴重な勝ち越しゴールを決めた。

「点を決められるとは思ってなかった。味方のサポートがあったから決められた。前半は不満の残る内容だったが、後半はこういう戦い方ができて良かった」

 試合後のテレビインタビューで、ピンパォンは謙遜気味の言葉を並べたが、表情には笑顔があふれていた。実はこのストライカー、“異色の経歴”を持つ男だ。プロサッカー選手が夢ではなく、学生時代は母国ブラジルで歯科医を目指し、勉強に励んでいた。そんな中、趣味でやっていたフットサルでスカウトされ、本格的にサッカーに取り組んだ。それからわずか3年……。アジア王者を決める大会で決勝弾を挙げるまでの選手へ成り上がってきた。

 新加入選手のゴールは、昨季から攻撃陣が大きく変わったC大阪にとって一安心といえるだろう。昨シーズンはJ1昇格1年目でリーグ3位に輝き、ACL出場権を手に入れたが、今冬に昨年の主力からFWアドリアーノやMF家長昭博、MFアマラウが移籍した。攻撃力の低下が心配されたが、ピンパォンの活躍で一蹴する形となった。

 この日は守備陣も持ち前の堅守を発揮した。DFラインの裏を狙われてピンチを迎える場面もあったが、昨季、堅守を誇ったメンバーが顔をそろえる最終ラインが耐え切って、PKでの最小失点に押さえ込んだ。DF茂庭照幸は「PKで失点したこともあって、攻撃陣に焦りがみえていたので『落ち着いてやろう』と声をかけた」。後半開始直後にPKで失点しチーム全体が浮き足立つかと思われたが、茂庭をはじめとした守備陣が攻撃陣を守り立てて戦い抜き、アジア初白星を手に入れた。

 中2日でJリーグが開幕。C大阪は万博競技場でG大阪と“大阪ダービー”を戦う。この日の試合を受けて「ガンバさんに勝とうと思えば、今日の後半以上の戦い方をしなければいけない」とレヴィー・クルピ監督は決意を新たにした。5日の試合でダービーを制し、16日に行われるACL第2節、敵地で行われる山東魯能戦へ向けて弾みをつけたい。

(文 片岡涼)

ACL2011特設ページ

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