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主力大幅入れ替えの横浜FMは追いつかれて引き分け

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Text alert@豊田ス
[3.5 J1第1節 名古屋1-1横浜FM 豊田]
 動きの重い前年チャンピオンを相手に、手堅い守りとカウンターから小気味いい攻撃を仕掛けていった。木村和司体制2年目に勝負をかける横浜F・マリノスが、名古屋を最後まで苦しめた。

 立ち上がりの前半2分、いきなり決定機を作った。4-4-2の左MFに入った長谷川アーリアジャスールのクロスを、新加入の元日本代表FW大黒将志がゴール正面で受け、得意の反転シュート。同7分にはロングフィードを受けた長谷川が左足で強烈なシュートを放ち、名古屋ゴールを脅かした。

 同20分にはまたしても長谷川のクロスに大黒が頭で合わせる決定機。シュートは惜しくも枠を外れたが、どちらが格上なのかがわからないような内容で試合が進んだ。

 山瀬功治、松田直樹といった主力を放出し、18歳の小野裕二に背番号10を与える大改革を敢行して、今シーズンを迎えた。

 新戦力の谷口博之、小林祐三を加えた新布陣がかみ合うのに時間がかかり、プレシーズンは内容の乏しい試合をしてしまった。選手たちは一抹の不安を抱えて開幕戦に挑んでいた。

 そんな中、待望の先制シーンは後半18分。右サイドをから分厚い攻撃をしかけながら最後はキャプテンマークを巻く兵藤慎剛が左足シュートを決めた。木村監督が「狙い通りのサッカーができていた」と振り返ったのが頷けるような内容だった。

 だからこそ悔やまれるのが終了間際に与えてしまったPKの場面だ。ペナルティーエリア内で永井謙佑を倒してファウルを取られた栗原勇蔵は「ファウルしなくてもいいか、迷った。でもあそこで行かせたら(GKと)1対1になる。すべて結果論」と唇をかんだ。

 それでも、プレシーズンの苦しい状況から大きく前進したのは間違いない。先制点を決めた兵藤は「練習試合と比べると出来は良かった。うまくいっていなかったから、みんなが意識して声を掛け合ったのが良かった。佑二さんと勇蔵くんで守備ブロックもしっかり作れていた。34試合が終わったところではいい位置にいられると思う」と明るい表情だ。

 追いつかれての引き分けは痛いが、主力が入れ替わっての初戦に光明を見出せたことは、今後の自信につながる。復活をかける名門がまずまずのリスタートを切った。
(取材・文 矢内由美子)

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