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柏は“因縁の地”で白星&暫定首位。システム変更がプラスに

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[4.23 J1第7節 大宮0-1柏 NACK]
 柏レイソルは、背番号「10」レアンドロ・ドミンゲスの2試合連続ゴールで大宮に1-0勝利。開幕・清水戦(3-0○)に続く連勝で、暫定首位をキープした。前半は大宮の素早いプレスに苦しんだが、後半開始からのシステム変更が功を奏した。
「ハーフタイムでシステムを4-4-2から4-3-3に変更した。選手を交代させることなく、出ている選手の特徴を活かそうとした。それがうまくいって、後半は選手たちが落ち着いて守備も攻撃もやってくれた。相手も我々のシステム変更に少し戸惑いがあったのではないか。その時間帯にうまく点が取れた」
 試合後の会見でネルシーニョ監督がしてやったりの表情をみせた。柏は後半開始から4-4-2(4-2-2-2)を4-3-3(4-2-3-1気味)に変更した。FW田中順也と2トップを組んでいたFW大津祐樹が左サイドに張り出し、右MFだったレアンドロ・ドミンゲスがトップ下に移動。左MFで先発した茨田陽生が右サイドに回った。前半から大宮のプレッシングに苦しんだが、これで中盤で数的優位が作れてマークが分散。パスも回るようになった。
 そして後半10分、PA右で田中が左足でミドルシュート。「足に当たった感触は凄く良かった。回転をかけた? はい。あの角度からだったので、ちょっとボールを揺らせて(回転をかけて)ファーを狙った。DFに当たってコースが変わってニアに飛んでくれて、GKの反応が遅れた」。田中の無回転ミドルが相手DFに当たってボールの揺れがさらに不規則になり、大宮GK北野貴之は弾くのが精いっぱい。このこぼれ球をレンドロが見逃さずに右足で決めた。
 田中は「後半からポジションが変わって、マークが外れるようになった。レアンドロが真ん中で1枚になって、そこで動いて、いい起点になってくれた。ボールが回って、いつもやっていることができるようになった。監督がそう采配してくれて良かった」とシステム変更がプラスに働いたことを強調した。
 4-3-3は今年に入ってあまり練習していないが、昨年は頻繁に使っていたシステムで、田中は「やってたので、対応は問題なかった」という。この1点をDF近藤直也ら最終ラインが踏ん張り、守り切った。MF栗澤僚一も「守備が安定してるので、安心できる」と守備陣を称えた。
 “因縁の地”で掴んだ連勝、そして暫定首位キープだけに、選手たちには精神的にもプラスになる白星だった。2009年11月28日、この日と同じNACK5スタジアム大宮での大宮戦。柏は1-1で引き分け、J2降格が決まった。「おととし、落ちたところが大宮だった。僕もいましたし、そういう思いもありました。チームは変わって、J2で積み上げてきたものがあって、それを出せて勝てたので良かった」と田中。この日の勝利で“辛い過去の呪縛”から少しだけ解放された。
 苦戦した試合展開を立て直し、敵地で白星をつかんだのは大きい。J1復帰1年目とは思えないチーム力がある。「今年の補強を見てもらったら分かりますけど、チームは最初から上位を狙っている。上位に入ろうという気持ちで、トレーニングからできている。これからもチーム力を上げていきたい」と主将のMF大谷秀和は胸を張る。暫定首位は“快進撃”ではなく、実力通り-。大谷をはじめ、多くの柏イレブンの表情には、そんな自信が垣間見えた。
(取材・文 近藤安弘)

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