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原口、執念が実りダメ押し弾「サボらずに守備をしたから」

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[4.24 J1第7節 浦和3-0名古屋 埼玉]

 執念と手を抜かない強い気持ちが実った。浦和レッズのFW原口元気が名古屋戦でダメ押しの3点目を決めたが、最後まで戦術をまっとうした強い精神力がゴールを生んだ。

「前からの守備は(開幕の)ヴィッセル戦からやってて、それがきょうはすごくはまった。サボらずに守備をしたから、ボールが取れて、ゴールが決められたと思う。守備を頑張ったご褒美が最後に来た」

 2-0の後半33分だった。原口は名古屋の右SB田中隼磨に渡りかけた緩い横パスを見逃さなかった。猛ダッシュで寄せてスライディングでボールを奪うと、ゴールへ一直線。GK楢崎正剛と1対1となり、最初の右足シュートは弾かれたが、こぼれ球をそのまま左足でねじ込んだ。相手の戦意を消失させるゴールとなった。

 ゴール後はサポーター席の前に駆け寄ってガッツポーズを繰り出した。そのあとには、ベンチ前のペトロヴィッチ新監督を目指した。飛び上がって抱きつき、喜びを分かち合った。新指揮官は、原口の持ち味でもある積極的なドリブルを評価し、信頼して先発で起用している。長所を尊重してくれる監督に、感謝の意味も込めて熱き抱擁を交わした。

 この日は左MFで先発し、最初からアクセル全開だった。前半はシュートチャンスこそ1回だったが、前線からの守備で名古屋にプレッシャーをかけ続けた。ただ、それで満足はしなかった。

「ゴールを狙ってたんですけど、ぜんぜん攻撃できなくて、ストレスがたまっていた」。後半は、守備への意識を維持しつつ、さらに攻勢に出た。後半は4本のシュートを放ち、結局、両軍最多となる5本のシュート。「1発チャンスが来るかなと思ったらそれが来て、しっかり決められた。それがなかったらダメだった」と安堵の表情を浮かべた。

 再開後の試合に向けて、先日のゲキサカインタビューでは「今年は“違う原口”が見せられると思います。この2年間、怪我もあったし、本当にふがいなかったです。自分自身が変われたというか、今年は“違うだろ”というところを見せたいし、見せられると思います」と話していたが、再開初戦から体現してみせた。

 次戦29日は敵地で仙台と戦う。相手は被災者のためにと、強い気持ちで向かってくるが、当然、ひるむつもりはない。「仙台はすごく強い気持ちで来ると思うので、負けないくらいの気持ちでやりたい。勝たないといけないと思います」と原口は力強く言い切った。もともとの高い技術に、強い精神力も身に付けた若きアタッカー。攻撃でも守備でも、縦横無尽に動き回って勝利に貢献する。

[写真]駄目押し点を決めた原口

(取材・文 近藤安弘)

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