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“浦和キラー”発揮した横浜FM・渡邉、今季20ゴールと代表復帰を宣言

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[5.3 J1第9節 浦和0-2横浜FM 埼玉]

 完全復活を目指す横浜F・マリノスの背番号「9」に、待望の今季初ゴールが生まれた。0-0の後半25分、右サイドからのMF中村俊輔のFKに飛び込んだのはFW渡邉千真だ。うまくニアサイドに走り込みヘディングシュート。劣勢だったチームを救う値千金の先制ゴールを奪った。

「自分のマークの前に上手く入れた。俊輔さんからいいボールが来たので合わせるだけでした。前半、我慢の時間が多くて、守備の人がしっかり守ってくれたので、後半は点を取りたいと思っていた」

 前半から浦和に主導権を握られ、2トップ以外はほとんど守備に追われた。後半、少し攻める時間が増えたが、それでも浦和が押し込んできた。そうなると、得点を奪うにはセットプレーが大事なる。ただえさえ、引いて守るチームには大きなチャンスといる飛び道具。これをエースがモノにした。

「毎回言われるんですけど、そんなに意識はしてないです。レッズサポーターは声援が凄いので、逆に集中できるのかもしれない」

 本人は不思議がっているが、“浦和キラー”は健在だった。これで対浦和戦はリーグ戦5試合5得点。もともと横浜FMの現役選手ではトップスコアラーだが、あのディアスや城彰二に並んで2位タイとなった。トップはビスコンティとメディナベージョの6得点。プロ入り3年目で歴代トップに肉薄した。

 “浦和キラー”というよりは、“埼スタキラー”なのかもしれない。対浦和戦5得点のうち、埼玉スタジアムで4得点を挙げている。この日のゴールは3試合連続だった。さらにこの日のヘディング弾は、埼玉スタジアム通算200得点目の記念弾。「そうなんですか? いいんですかね……」と渡邉は照れ笑いを浮かべた。

 2009年のルーキーイヤーは新人最多記録の13得点を決め、新人王を獲得した。2010年はさらなる飛躍が期待されたが、怪我や不調もあって8得点と満足のいく結果が残せなかった。今年は復活、いやさらに一皮むけたストライカーを目指している。そんな中、この日のゴールは、FWの今季初ゴールだった。

「新たな年に変わったので、気持ちを切り替えて、今年は最初から1戦1戦やるという気持ちで入った。今年はリーグ戦は20ゴールという目標を掲げているので、それに向かって1戦1戦しっかりやりたい。あとは代表に入れるようにやっていきたい」

 試合後、渡邉から『今季20得点』に『日本代表復帰』という力強い言葉が飛び出した。この日は日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督も視察に訪れた。2009年1月のイエメン戦でA代表デビューを果たしたが、その後は呼ばれていない。この日のゴールで即代表招集とはいかないだろうが、もう一度、日の丸を背負うことを強く思い描いている。

「いつでも、いいプレーしたら可能性はあると思う。毎試合毎試合、点を取れるように頑張りたい」と渡邉。名門復活のカギを握るエースは、このまま勢いに乗りゴール量産を目指す。

[写真]先制点を決めた横浜FM渡邉

(取材・文 近藤安弘)

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