[5.14 J1第11節 広島3-2横浜FM 広島ビ]

　今季無敗同士の対決となった試合はサンフレッチェ広島が制した。FW李忠成の2得点とMFムジリのゴールで3-2。DF森脇良太が退場し、数的不利な戦いを強いられたが、白星を勝ち取り無敗を守った。

　前節の甲府戦(1-1)で3選手が負傷し、MF青山敏弘は左ひざを再手術。DF水本裕貴は頭蓋骨骨折の重傷を負った。DF中島浩司は先発に復帰したが、主力を欠いての一戦となった。スタンドにはサポーターの手によって「広島の男・水本裕貴 この場所で君の帰りを待つ」と描かれた弾幕も張られ、チームが一丸となって、離脱した選手のためにも勝利を目指した。

　まずは前半17分、MFミキッチの右クロスをファーサイドのFW佐藤寿人が頭で落とすと、李が左足ダイレクトでシュートを決めて先制点を決めた。今季3点目を決めた李の勢いは止まらない。同33分には右サイドからドリブル突破。PA外で止めにきた日本代表DF栗原勇蔵を鮮やかにかわすと、フェイントでDF中澤佑二をかわして、PA内へ進入。最後はDF小林祐三がスライディングで止めにくるも、GKを前にニアサイドへボールを蹴り込み、追加点。チームに勢いをもたらした。同43分にはセットプレーから失点を喫したが、2-1とリードで前半を折り返した。

　しかし、後半には波乱の展開が待っていた。後半15分、ドリブルで突破を仕掛けてきたDFキム・クナンを森脇が倒してしまい、一発退場。数的不利になった広島は直後に佐藤に代わって、MF高萩洋次郎を投入した。そこから横浜FMの猛攻を受けるが、カウンターからチャンスを演出。同22分、MF森崎浩司のパスを右サイドで受けた李が前線でタメをつくり、DF2枚を引き付けると逆サイドに走りこんだムジリへラストパス。これをムジリが右足で決めて、2点差に広げた。その後、MF中村俊輔に1点を返されるがなんとか逃げ切り、3-2の勝利。ここ3試合とも1試合1得点の試合が続いていたが、決めるべき選手が点を取り、勝ち点3を手に入れた。

　試合後のテレビインタビューで李は「チーム一丸となって取ったゴールです。ミズ(水本)とアオ(青山)のために、あいつらの想いを汲んで試合に臨みました。勝利は格別です」とコメント。無敗チーム同士の一戦を制したことについては「素直に嬉しすぎます」と表情を和らげた。

　しかし、勝利したものの次節は、青山と水本に加えて、退場した森脇とこの日受けた警告で累積4枚目となった李が出場停止となる。主力4選手を欠いた中で、今節では清水に5-1と大勝した神戸が相手だ。ペトロヴィッチ監督は「次は4選手が出れませんが我々のチームは長く、このメンバーで戦ってきているので。誰が出ても勝利を目指して戦っていけると信じている」と問題はないことを強調していた。

[写真]2ゴールを決めた李

(文　片岡涼)