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柏は守備も好調で最少失点。栗澤&大谷のボランチコンビが下支え

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[5.14 J1第11節 新潟0-3柏 東北電ス]

 6試合13得点と攻撃陣が好調で、首位をキープする柏レイソル。FW北嶋秀朗やMFレアンドロ・ドミンゲス、DFジョルジ・ワグネルら攻撃陣ばかりが注目されるが、それを下支えしているのは守備だ。この日は何と新潟に打たせたシュートは1本のみで、今季2度目の完封勝利を成し遂げた。これで6試合4失点と14日現在、リーグ最少失点と安定感が出てきた。

「相手のストロングをニュートラルに持っていく。それが終始機能したからシュート数に出たと思う。サイドで向こうの連係やスピードアップをさせないようにブロックした。選手たちは戦術面を理解し、自信を持ってやっているので、そういう部分の質は高いと思う」

 試合後の会見でネルシーニョ監督も守備面の成長を口にし、実践してる選手たちを評価した。新潟はFWブルーノ・ロペスとMFチョ・ヨンチョルの“二枚看板”を欠いたこともあるが、それ以上にチーム全体で組織的な守備ができている。キーマンはダブルボランチだ。

「FWとか前線も守備を手伝っているけど、CBの2人とGKの守備がしっかりしている。それに、その前の栗澤と大谷が“掃除”してくれている。“防波堤”を築いてくれている。(攻撃の)波を栗澤と大谷で弱めてくれて、それを増嶋や近藤が弱めて、菅野が取ってくれる」。ベテラン北嶋はボランチコンビのMF栗澤僚一とMF大谷秀和の役割が大きいことを明かした。

 2人とも大柄ではなく、決して体が強いというわけではない。しかし、いわゆる“気の利いた守備”ができる。豊富な運動量と危機察知能力を発揮し、対人守備やパスカット、そして最終ラインのフォローまでまんべんなくこなすことができる。「後半は相手が2トップ(前半は縦関係だったが、後半途中から完全な2トップ)になったので、それに(CBが)付いていって間があいてしまったけど、そこは大谷さんや栗澤さんがカバーしてくれた。あまり声をかけなくてもやれている」とDF近藤直也も2人の貢献を称える。

 もともとは攻撃的MFだった栗澤は「ネルシーニョ監督になって、体の使い方とか体の入れる向きとか、できるようになった。監督は勝つサッカーをしようとしていて、勝つために我々が何をしないといけないのかとか、1人1人の責任感が磨かれた。戦う強さとか勝利のメンタリティーを植え付けられた」と言い、大谷とのコンビについても「お互い良い距離感でやれている。連携面の話しあい? まったくといっていいほど前の試合のこともだし、試合中も話し合うということはないです」と“阿吽の呼吸”が出来上がっていることを強調した。

 本職の大谷に加え、栗澤の守備力も向上し、北嶋の言葉を借りれば、DFラインの前に強固な“防波堤”が作れている。守備が安定すれば、攻撃陣もより一層、のびのびとプレーでき、力を発揮することができる。J1に復帰したばかりの柏の躍進は、栗澤&大谷と“円熟コンビ”が『縁の下の力持ち』のごとく支えている。

(取材・文 近藤安弘)

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