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2点リードを3分間で失った鹿島、選手間の意識にズレも

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[5.21 J1第12節 浦和2-2鹿島 埼玉]

 魔の3分間だった。鹿島アントラーズは2点を先行しながら後半22分、24分に連続失点。2-2のドローで、勝ち点3を逃した。

 出足はよかった。前半で2失点した前節・川崎F戦(2-3)の反省を生かし、高い位置から積極的にプレッシャーをかけ、浦和を押し込んだ。前半13分にはDF西大伍の移籍後初ゴールで先制。前半はシュート数でも9対3。完全に試合の主導権を握り、後半に折り返した。

 リズムが変わり始めたのは後半に入ってからだった。1-0の後半13分、MF遠藤康に代わってMF本田拓也が入り、ボランチのMF増田誓志が2列目に上がる。前半の流れのまま2点目を取りに行くのか、しっかりブロックをつくるのか。ピッチ上の選手間に微妙な意識のずれが生まれた。

 DF伊野波雅彦が「タク(本田)が入って、守りに入ろうというイメージになったのもあるし、監督のそういうメッセージだったと思う。でも、そこで守りに入らず、残り10分までは攻める方がよかった。守るのが早すぎた」と振り返れば、DF岩政大樹は「守りに入ろうとは思わなかったし、ラインも下げてない。バランスを保ったまま2点目を狙った」と言う。CB2人の間でも意思統一が取れていなかった。

 本田投入から4分後、増田のゴールで追加点を奪うことができた。2-0。今季初めて先制点を取ったチームがリードを2点に広げ、一瞬、集中力が切れた。後半22分に1点を返されると、その2分後に2失点目。わずか3分間で2点のリードを失った。

 MF青木剛は「サッカーは2点差が一番危ないって感じた。最近2点リードしたことがあまりなくて、気が緩んだというか、3点目を取る意識が持てなかった」と反省する。2-0からの戦い方、2-1に追い上げられたあとの冷静さ。MF小笠原満男がメンバー外となった影響もあったか、チームの意思を一つにまとめ、落ち着かせることのできる選手がピッチ上にいなかった。

 岩政は「シュートがあれだけ枠に行かないと、どんな相手でも心配だし、後ろで守る方としても厳しい」と、攻撃陣の決定力にも苦言を呈した。FW大迫勇也やFW興梠慎三のシュートがことごとく外れたのは事実だが、攻撃陣からすれば、2点を守り切れなかった守備陣に文句でも言いたいかもしれない。

 これでリーグ戦は5試合で12失点。「2点とも確率は一番低いシュートだった。DFの対応はおかしくなかった」。岩政が言うように、相手のシュートを称えるか、アンラッキーな失点だったととらえることもできる。前半からハイペースで飛ばし、後半は運動量が落ちることも、ある程度想定はしていただろう。しかし、2-0から追い付かれての引き分けという結果は、不振にあえぐチームにとってあまりにも重い。

[写真]ドローに悔しい表情を見せる鹿島MF増田

(取材・文 西山紘平)

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