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柏はファーストシュートで先制、盤石の試合運びに田中「勝ち癖が付いている」

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[5.28 J1第13節 柏3-0神戸 柏]

 狙い通りの試合運びで効果的に得点を重ねた。柏レイソルは前半21分のファーストシュートが先制点。3分後に2本目のシュートで追加点を決め、完全にゲームの流れを掌握した。

 2得点のFW田中順也は「うちは守備から入るチーム。守備から入ってセカンドボールを拾って、コンパクトに守ることを意識して臨んだ」と振り返る。柏が先制するまでポゼッションで上回り、シュートを打っていたのは神戸だった。しかし、それも柏からすれば“ボールを持たせている”状態。シュートも遠めからのミドルがほとんどで、決定的なピンチはなかった。

 先制点は流れるようなパスワークから生まれた。DF近藤直也の縦パスをFW大津祐樹がつなぎ、MFレアンドロ・ドミンゲスが絶妙なスルーパス。後方から走り込んだ田中が左足でゴール右に流し込んだ。

「レアンドロからいい形でボールをもらって、完全にフリーだったし、流し込むだけだった。ファーに蹴ったらGKに読まれると思ってニアに流し込もうと。狙い通りだった」

 その3分後にはMF栗澤僚一の大きなサイドチェンジを左サイドで待ち構えていた田中が胸トラップから左足を一閃。右のサイドネットに突き刺した。

「一番遠い位置にいて、クリさん(栗澤)が気付いてくれるかなと思ったけど、見てくれて。1点取って少し気楽だったし、振り抜いたら何か起こるんじゃないかと思ってチャレンジした」

 角度のない位置から迷わず左足を振り抜いた弾丸シュート。「アウトにかけて外から巻くように蹴った。指宿キャンプでまったく同じゴールを右隅に決めていて、そのイメージがあった」。シュート2本で2得点。2-0とリードを広げ、あとは手堅く守ってカウンターからチャンスをうかがった。後半28分にレアンドロが3点目を決め、今季4度目の1試合3発。非の打ちどころのない完勝だった。

 J1復帰1年目ながら首位を快走する快進撃。6勝1分1敗の勝ち点19で、2位仙台との勝ち点差も3に広がった。田中は「去年1年間で積み上げたものがいい方向に行っている。J2も勝ち切るのが大変だったし、勝ち癖が付いている」と胸を張る。昨季、23勝11分2敗という圧倒的な強さでJ2を制した自信が根底にある。そのベースにDFジョルジ・ワグネル、DF増嶋竜也ら新戦力が加わり、昨季の大半をケガで棒に振った大津の復活、さらには田中やDF酒井宏樹といった若手の成長もチーム力をさらに押し上げた。

「組織的な守備とか、そういう大前提の部分の質を落とさず、毎試合、同じ気持ちで臨めば、いい結果が出ると思う。うちはチームで戦っている実感がある。組織的に戦って、その中に個の強い選手もいる。いい流れがチームにある」。3連勝中の神戸も寄せ付けなかった圧巻の強さ。この勢いがとどまる気配はない。

[写真]この日2得点の田中

(取材・文 西山紘平)

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