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「U-22」&「24」対決は酒井に軍配、「自由にプレーさせないようにした」

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[5.28 J1第13節 浦和1-1新潟 埼玉]

 相手の“生命線”を寸断した。浦和は前節鹿島戦の途中から採用して機能した4-4-2にシステム変更し、6試合ぶりの白星を狙ってきたが、アルビレックス新潟のU-22日本代表DF酒井高徳が攻撃のキーマンを封じた。浦和のU-22日本代表MF原口元気で、MF柏木陽介から「今は元気のチーム」と言われるほど核になっているアタッカーだが、酒井が立ちはだかった。

「代表でやっていて特徴は分かっていた。ドリブルをしてくるので、しっかりと寄せて自由にプレーさせないようにした。シュートは0本だったので、完璧に抑えられたかなと思う。同世代なので、やられたくない気持ちがあった」

 酒井はこの日、いつもの左SBから右SBに配置転換された。黒崎久志監督の話を総合すると、DF石川直樹が復調してきたため先発で使いたかったことや藤田征也を本来の右MFで使いたかったこと、そして何より、酒井の1対1の強さを活かして浦和の攻撃の“生命線”である原口&左SB宇賀神友弥の左サイドを封じ込める狙いがあった。かくして共にU-22代表で、背番号も「24」同士のガチンコ対決が実現した。

 前半16分には、原口が左サイドを仕掛けてクロスを入れようとしたが、酒井が激しく体を寄せてミスキックを誘った。同39分には原口がキープしようとしたところ体を寄せて奪い取った。後半38分には原口が出そうとしたスルーパスを読み切ってカット。同41分には宇賀神が原口に出そうとしたパスもカットした。

 右SBでの出場について酒井は「気を使ったこと? 守備の部分です。(藤田)征也くんとコミュニケーションを取って、防ぐことができた。それが良かった」。もちろん、原口と宇賀神だけのせいではなく、浦和がチームとしてうまく2人を使い切れなかったところもあるが、今回は酒井の“負けたくない気持ち”が勝った。黒崎監督も「自分のタスクを遂行してくれた」と評価した。

 失点危機からも“神がかり的位置取り”で救った。0-1の前半41分、こぼれ球からPA手前で浦和MF柏木陽介にボレーシュートを打たれた。GK東口順昭が少し前に出ていたため、ガラ空きとなっていたゴール左(浦和には右)に決められかけたが、間一髪で酒井が寄せてクリアした。「東口くんが出たら、カバーに行こうと思っていた。入っていれば2-0だった。きょうの試合の流れを変えたかなと思う。最後まであきらめない気持ちがつながった」と、してやったりの表情を浮かべた。

 30日からはU-22日本代表合宿に入り、6月1日にはで本拠地の新潟でU-22オーストラリア代表戦を迎える。酒井には左右のSBとして攻守で大車輪の活躍が期待される。「新潟で開催されるので、個人的にはモチベーションが高い。まずは自分が試合に出られるようにしっかりアピールしたい」。U-22日本代表でも、勝利を左右する守備、そして持ち味の攻撃参加を披露するつもりだ。

[写真]酒井高と原口のマッチアップ

(取材・文 近藤安弘)

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