[5.29 J2第14節 東京V0-0鳥取 国立]

　J2第14節の3日目が29日に各地で行われ、東京・国立競技場では東京ヴェルディとガイナーレ鳥取が激突した。両軍とも2勝2分3敗で13位と14位のうえ、鳥取は指揮官と3選手が元ヴェルディという“因縁対決”だったが、0-0の引き分けに終わった。東京Vは2戦連続ドロー。鳥取は2戦連続ドローで4試合未勝利となった。

　東京Vは前節で退席処分を受けた川勝良一監督がベンチを外れての一戦。システムは4-2-3-1でGKは柴崎貴広、DFラインは右から福田健介、深津康太、土屋征夫、高橋祥平。ダブルボランチは佐伯直哉と菊岡拓朗が組み、右MFは小林祐希、左MFは飯尾一慶が務めた。トップ下は河野広貴で、1トップは平繁龍一が入った。

　対する鳥取は前節の4-4-2から4-1-4-1にシステム変更。GKは小針清允、DFラインは右から丁東浩、喜多靖、戸川健太、奥山泰裕。アンカーは元日本代表MF服部年宏が入り、2列目は右から実信憲明、小井手翔太、吉野智行、美尾敦が務めた。1トップには阿部祐大朗が構えた。鳥取には過去、松田岳夫監督をはじめ、小針、戸川、服部の3選手が東京V(小針はV川崎)に所属していた。

　強い雨の中での一戦。前半の主導権を握ったのは、縦にシンプルに仕掛ける鳥取だった。前半6分、左サイド、美尾のクロスを阿部が落とし、実信が左足シュート。これはGK柴崎に弾かれたが、リズムを作る。同21分には左サイドからの奥山の左足クロスに、阿部がヘディングシュートを繰り出すが、高さが合わずに上に大きく外れた。

　東京Vは雨でピッチがぐしょぐしょのため、持ち味のショートパスとドリブルの威力が半減した。それでも3試合ぶりに出場となった河野が奮闘。前半7分にはPA正面やや左でパスを受けてドリブル突進。3人のマークをうまく交わして左足でシュートを放った。これはGK小針にセーブされたが、さすがのプレーを見せた。

　その後も鳥取がチャンスを作る。前半28分には右サイドでボールを奪った小井手がスルーパス。実信がPA右内で受けて仕掛けて右足を一閃したが、惜しくもサイドネット。同30分には実信の横パスからPA左で阿部がシュートを放ったが、右上に外れた。さらに同33分、左サイドからの奥山の低くて速いクロスに、ファーサイドで阿部が体を投げ出したダイビングヘッドを繰り出したが、わずかに合わず流れた。

　東京Vは河野にいい形でボールが入ると好機が生まれる。前半42分、左サイドで菊岡からのパスを受けた河野が得意のドリブルで突進。深く仕掛けて中へクロスを入れると、これを飯尾が受けて左足のシュート。しかし、これはわずかに外れて左のサイドネットに。前半はこのままお互いにスコアレスで折り返した。

　後半、さらに雨が強くなり、お互いボールを収めるのが難しくなる。中盤での攻防が激しくなった。それではと、鳥取はミドルシュートを試みる。後半16分、左サイドから美尾が得意の左足を一閃。これはGK柴崎に防がれた。さらにその1分後、右サイドから中へ切れ込んで実信が左足でミドルシュート。これは枠を外したが、ゴールへの意欲を見せた。

　何とかホームで白星が欲しい東京Vは、後半17分に河野に代えてMF阿部拓馬を送り出した。後半29分、東京Vに決定機が生まれる。左CKのチャンスで、土屋がジャンプ力を活かしてヘディングシュート。うまく競り勝ちジャストミートさせたが、これはクロスバーに弾かれた。同29分、東京Vは飯尾に代えてMF高木善朗を送り出した。

　鳥取は後半37分、この日初めての選手交代で一挙2選手を入れ替えて勝負に出る。阿部に代えてFWドドを、吉野に代えてMF鶴見聡貴を送り出した。対する東京Vは同38分、最後のカードを切る。小林に代えてMFアポジを投入した。

　この時間、東京Vが持ち味を発揮。高木やアポジの仕掛けから押し込む時間が増えてくる。しかし、鳥取もカウンターで応戦。後半43分、縦パスにドドが抜け出して低い強烈なシュート。これはGK柴崎が何とかセーブしたが、鳥取の助っ人も負けじと怖さを見せた。

　東京Vは右サイドのアポジがスピードあふれるプレーで脅威を与えた。ロスタイムは3分。東京Vは縦に速く仕掛けてゴールを狙いにいったが、鳥取は全員守備で対抗。試合はそのまま0-0のスコアレスドローで終わった。

(取材・文 近藤安弘)