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“いぶし銀トライアングル”が東京Vの攻撃を寸断、服部「楽しかった」

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[5.29 J2第14節 東京V0-0鳥取 国立]
 これぞ“熟練の技”だ。雨中の厳しい試合の中、ガイナーレ鳥取は攻撃サッカーを標榜する東京ヴェルディをシュート5本に抑えた。1トップのFW平繁龍一とトップ下のFW河野広貴という22歳&21歳の若きアタッカーがストロングポイントだが、平気年齢33歳の“いぶし銀トライアングル”が抑え込んだ。
「河野のところを自由にさせると嫌だった。そこをできるだけ、外へ外へと追い出すようにした。アイツが嫌がって、外に外に行ってくれたらと。そこがある程度、できたかなというのはある。CBが引っ張り出されるとギャップができちゃうので、そこを作らないように、僕がやった」
 前東京Vで、37歳の元日本代表MF服部年宏もしてやったりの表情だった。この日は前節の4-4-2から、通常システムの4-1-4-1に戻した。服部がアンカーに入り、CBには元東京Vで29歳の戸川健太、磐田や新潟などでプレーしていた33歳の喜多靖が入った。
 東京Vは河野と平繁が縦関係を作り、河野のドリブル突破やパス、平繁の裏へ抜け出すスピードが一つの攻撃の形だが、まずは河野を自由にやらせないように服部がアタック。仮にキープされても外へ外へと行かせた。また、間のスペースに入られても、3人でうまく挟んで対応。結果、平繁、河野ともにシュートは1本ずつに終わった。
 喜多は「外からのセンタリングは僕らは高さがあるんで、対応できると思っていたけど、中でやられるのが一番悔やまれるので、集中しようと。距離感を大事してやった」とニンマリ。戸川も「チャンスもあまり作らせなかったし、チームとして機能してた。服部さんを前に置いて、前線の守備がはまってる。後ろは割と絞りやすい」と振り返った。
 まさにベテランの味を発揮した。自然体で臨んだことがプラスに働いた。若い選手ならば、古巣と対戦するときは気合が入りすぎる場合があるが、服部は「普通でしたね。まあ、楽しかったですよ。昨夏は負けたくないと強く言っていた? そうでしたっけ?? もう(退団から)1年たつと絶対に勝つ! とかそういうのはないけど、やってて楽しかったね」とさらり。
 戸川も横浜FCを間に挟んでいることもあり、「もうヴェルディにはそういうのはないですね。知っている選手があまりいないので。平本とか出てきてくれれば、一緒にやりたかったけど」という。喜多は対戦相手として“昔のヴェルディ”を知るが、気負いはなかった。「楽しかったね。国立でヴェルディとやれて。河野君とか、去年まではテレビ見ていたし」と聖地でのプレーを満喫したようだ。
 チームは2試合連続ドローで4戦未勝利。順位も14位のままだが、初昇格のチームが8試合で2勝3分3敗というのは、昨年の北九州の例をみると、まずまずの結果と言っていいだろう。選手には、チーム力アップの手応えもある。特に守備面はFWのプレッシングも含めて組織がまとまり、機能しつつある。「苦しい時間にみんなで我慢できた。みんなちょっとずつ成長してる」と服部。あとは攻撃の形を作るだけ。厳しい戦いは続くが、ベテランたちがピッチ内外で支えていく。
(取材・文 近藤安弘)

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