beacon

阿部が聖地に“帰還”、「選手権の国見戦以来。武者震いがした」

このエントリーをはてなブックマークに追加
[5.29 J2第14節 東京V0-0鳥取 国立]

 ガイナーレ鳥取のFW阿部祐大朗が開幕・徳島戦以来となる今季2度目の先発出場を果たした。1トップを任され、指揮官から命じられた前線からの守備とポストプレーをこなしながらゴールを目指したが、結果は無得点。「絶対に点を取りたいと思っていた。もうちょい積極的にシュートまで行ければ、点も入ったと思う」と悔しさを吐露した。

 燃えていた。FW梅田直哉が負傷。チームがここまで3戦未勝利で、3試合で1得点と得点力不足に苦しむ中、7試合ぶりに先発を任された。そして何より、聖地に帰ってきたことで心が奮い立った。「国立に入ってきたとき、武者震いがした。国立での試合は、高校選手権の国見戦以来でしたし」。約8年5ヵ月ぶりの聖地だった。覚えている人も多いだろうが、阿部は桐蔭学園の出身で、当時はU-17日本代表で世界選手権(現U-17W杯)に出場するなど、将来の日本を背負って立つといわれたストライカーだった。高校選手権にも3年連続で出場。3年生だった2003年1月7日には準決勝でFW平山相太のいる国見高校と、この国立競技場で対戦した。

 その日は自身無得点で1-2の敗戦。この年に鳴り物入りで特別指定選手としても在籍していた横浜FMに入団した。しかし、プロでは思うような結果が出ず、山形や社会人リーグのフェルヴォローザ石川・白山、徳島を経て2009年に鳥取に加入。再びJの舞台に帰ってきた。そして国見戦以来となる国立のピッチに立った。

 ましてや、相手はヴェルディ。小学生のときには合格はしなかったが、ジュニアのセレクションも受けたことがあるクラブ。「小学生のときには、よく試合を見に来ていましたからね」と阿部。「やっぱ、最高の舞台でした。ピッチもこんなに雨が降っていたのに、水がたまっていなかった。ぜんぜん大丈夫だった」と振り返った。

 無得点だったが、松田岳夫監督は前線からの守備とポストプレーには一定の評価を与えた。シュートも2本あり、1本はヘディング、もう一本は左45度からの右足シュートで“惜しいところ”までいっていた。本人としては少しでも早く、徳島に在籍していた2008年以来となるJリーグでのゴールが欲しいところだ。

「ここまでぜんぜん試合に出れていなくて、きょうも急に来たチャンスだったけど、精一杯やった。“もうちょっと”のところを、もっと練習でやっていきたい。これまでJで活躍できなかったので、1つでも多く点を取れるようにやっていきたい。今日みたいに試合に出られれば、絶対に点は取れると思う」と強い決意を示した阿部。もう一度、『阿部祐大朗』の名をサッカー界に知らしめるつもりだ。

(取材・文 近藤安弘)

TOP