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五輪予選も任せた!柏のU-22SB酒井が全得点をお膳立て!!

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[6.11 J1第14節 横浜FM0-2柏 日産ス]

 圧巻の高精度クロスで観衆をうならせた。成長著しい期待の右サイドが、最高の形でロンドン五輪予選に挑む。柏レイソルのU-22日本代表DF酒井宏樹が、横浜FM戦で1アシスト1起点と全得点に絡み2-0勝利に貢献した。

 まずは前半26分だ。FW田中順也が自らのポストプレーのこぼれ球から先制点を決めたが、お膳立てしたのは酒井のクロスだった。右サイドでボールを受けると、すぐさま右足で得意の低くて速いクロスを蹴り込んだ。これが中央で待ち構えていた田中の胸元にピシャリ。貴重な先制点につながった。

 そしてこの日、最も観衆が沸いたのが前半37分だった。再び右サイドでボールを受けた酒井が、狙い済ましてニアサイドに再び高速クロスを入れた。これにエース北嶋秀朗が反応し、ダイビングヘッド。まさにピンポイントのボールで追加点をアシストした。

「狙ったというよりは、あそこのスペースに放り込んでやろうと思っていた。ほんと自分のクロスを決めてくれる人がいてのアシストです。逆に練習だとうまく行かない。試合で出せて、ほんとに運がいい。FWが走り込んでくれて良かったです」

 本人は謙遜しまくりだったが、大先輩の北嶋が「一瞬ですけど、DFラインに隙があった。そこをうまく突けた。酒井もそのタイミングでいいボールを入れてくれた」と絶賛した質とタイミングだった。「酒井はもともと能力がある選手で、自信が必要だった選手。今はそれをしっかり掴んできて、自分のプレーをやれていると思う」と北嶋は若手の成長に目を細めたが、もう一人、酒井の活躍に喜んだ人物がいた。
 
 U-22日本代表の関塚隆監督だ。19日のロンドン五輪アジア2次予選・U-22クウェート代表戦(豊田ス)を控え、指揮官はこの試合を視察に訪れていた。19日のホーム戦、そして23日の敵地戦でも、高精度クロスが出ることを期待したに違いない。ちなみに、A代表のアルベルト・ザッケローニ監督も視察。将来的な候補としてリストアップされた可能性もある。酒井は「五輪が終わってもチームで結果を出してれば、見てくれると思う。プロだったら、一度は言ってみたい場所ですね」とA代表への想いも口にした。

 酒井の良さは、クロスだけではない。ブラジル留学で培った1対1の強さを生かした守備面も、能力が高い。183cmと上背もあり、CBの経験もある。セットプレーではターゲットマンにも、長身選手のマーカーにもなり得る。事実、5日のナビスコ杯仙台戦では1失点しているが、これでリーグ戦は4試合連続無失点。酒井はサイドの守備でしっかりと貢献している。

「ほんとチームが勝って(柏に)帰りたかったので、良かったと思います。(クウェート戦は)プレッシャーのかかる試合になりますけど、自分が成長できるチャンス。少しでもそういうのを見つけられたら良いなと思います」

 13日からはU-22の静岡合宿に参加するため、これで柏は一時的に離れる。その前に、しっかりとチームを勝たせる仕事をして見せた。次はU-22日本代表で-。「人(観客)が入ってる時点で、自分の中ではテンションが上がる。そんなに緊張はしないタイプです」と言い切るサイドアタッカーが、今度は日本列島に歓喜をもたらす。

(取材・文 近藤安弘)

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