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柏はCBが相次いで離脱も、4戦連続無失点。増嶋「次も完封で勝ちたい」

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[6.11 J1第14節 横浜FM0-2柏 日産ス]

 柏レイソルが横浜FMに2-0の完封勝利をつかみ、これでリーグ戦4試合連続で無失点とした。パク・ドンヒョク近藤直也のレギュラーCBが相次いで負傷する中、DF増嶋竜也が堅守を引っ張っている。この日は公式戦で初めてCBを務める橋本和とコンビを組んだが、体を張ってゴールに鍵をかけた。
 
「きょうは和が気持ちよくプレーできるように心がけた。和とは初めてセンターで組んだけど、このチームは何度も言うようにボランチとか、みんなで守備をするから、誰が出ても大丈夫なような感じ」

 4試合連続の完封劇に、増嶋から笑顔がこぼれた。この日はU-22日本代表DF酒井宏樹、エースFW北嶋秀朗ら“話題の人”が活躍し、そちらに報道陣の注目が集まったために少し寂しそうにしていたが、2人に負けないほど、首位キープに貢献していると言っていい。

 開幕は右SBで先発したが、その後は酒井が怪我から復帰したためベンチでの生活が続いた増嶋。だが、パクの負傷に伴い5月7日の浦和戦から本職のCBで先発に復帰。チームはそこからこの日の横浜FM戦を含めて、リーグ戦は負け知らずの4勝1分だ。5日のナビスコ杯仙台戦で近藤が負傷したため、この日は橋本にコンビが変わったが、それでも堅守をしっかりとキープし、無失点を4試合連続に伸ばした。もちろん、橋本の奮闘もあるが、増嶋が成長しているからだ。

 市立船橋高校時代から注目を集め、各年代の日本代表に選出された。2005年のワールドユースでは主将も務め、将来のA代表候補として期待を集めた。しかし、カテゴリーが上がるにつれ、フィジカルの弱さとスピード不足が露呈し、その後は代表から遠ざかった。2008年の北京五輪も、2007年の予選のときに候補合宿に呼ばれたくらいだった。

「昔はカバーリングだけやってればいいという感覚だったけど、それではダメだと気づいた。試合を重ねるごとに1対1は間違いなく強くなっている。足も速くなっていると思う」という増嶋。高校卒業後に入団したFC東京で定位置が奪えず、2007年には甲府へ移籍。そして2008年には京都に加入し、今年から生まれ故郷の千葉のチーム、柏に移籍してきた。

 かつてはラインコントロールなどクレバーな守備や攻撃の起点となるフィードが得意なCBだったが、京都時代はサイドバックに挑戦し、対人の重要性を学んだ。もちろん、あまり得意ではない筋力トレーニングもこなしてきた。「京都時代にサイドバックやって、1対1もずっと(強化しようと)やってた。そういう部分もプラスになっている」と振り返る。

 この日は、前半は大黒将志と渡邉千真、後半はキム・クナンと小野裕二と、まったくタイプの違うストライカーを相手にしても、動揺することなく無難に対応した。後半42分には谷口博之のヘディングシュートを、うまくGKの背後に入ってカバーもして見せた。

「前半は大黒さんと千真だけ見てるわけにはいかなくて、俺が引き出されたところに谷口が入って、というのを意図していたのがわかったので、つぶせるところはつぶそうと要領よくやっていました。後半は、ああいう風に(キムの長身を生かしたロングボール戦術というように)はっきりしたほうがやりやすかった」

 輝きを放っていたアンダー世代のときのように、いやそれにも負けないくらいの自信が復帰しつつある。「次も勝ちたい。次も完封で勝ちたいです」と意気込んだ増嶋。パクと近藤の両CBがそろうのは、しばらくかかりそうな気配。今後は連戦が続くが、逞しさを身に付けた増嶋が、縁の下の力持ちのごとく支える。

(取材・文 近藤安弘)

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