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「一つの決定機も逃さない」、ハーフナーが「予感」の公式戦4戦連発

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[6.15 J1第15節 鹿島0-1甲府 カシマ]

 ワンチャンスを狙っていた。ヴァンフォーレ甲府は後半ロスタイムにFWハーフナー・マイクが劇的な決勝点。右サイドのスローインからFWパウリーニョ、MF片桐淳至とつなぎ、ゴール正面からハーフナーが左足を振り抜いた。

「下を狙ったら抜けるかなという予感です。DFがそこら中にいたけど、冷静に振り抜こうと。振り抜いたらいい感じに股、股と抜けてくれた」

 最後はGKの股間を抜いてゴールネットを揺らした。リーグ戦3戦連発の今季6得点目。5日のナビスコ杯・清水戦(1-0)を含めれば、公式戦4戦連発。エースが牽引し、チームも公式戦4試合負けなし(2勝2分)と安定感が出てきた。

 昨季J2で20得点を記録し、甲府を4シーズンぶりのJ1復帰に導いたJ2得点王も“J1の壁”を感じていないわけではなかった。攻撃サッカーで1試合を通じて何度も決定機のあったJ2時代と違い、J1ではそうそうゴール前でチャンスが回ってくるわけではない。守備に追われる展開でも我慢する忍耐力、少ないチャンスを逃さない決定力は、J1で試合を重ねながら身に付けてきた進化の証しでもある。

「各チーム、DFのタイプは違うし、その中で自分をどう生かしていくかしか考えていない。どうしてもチャンスは少ないし、それを開幕戦で一番感じたのがFW陣だったと思う。試合を通して一つの決定機も逃さない意識が今につながっていると思うし、一つのチャンスをものにできるように、これからも集中して戦い抜きたい」

 この日のスタンドには日本代表のザッケローニ監督の姿もあった。報道陣から「ザックが視察した試合でよく点を取っているのでは?」と聞かれると、「たまたまです」と苦笑いしながらも「プロでやっていく中では目指していく場所」と代表入りにも意欲を見せた。次節18日のC大阪戦は累積警告で出場停止となるが、その後は22日の仙台戦、25日の柏戦と上位勢との連戦が待っている。チームのJ1残留のため、自分自身の未来のため、これからもゴールへの感覚を研ぎ澄まし、限られたチャンスを結果につなげていく。

[写真]公式戦4戦連発となる決勝点を決めたFWハーフナー・マイク

(取材・文 西山紘平)

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