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矢島が右足アウトのスーパー弾&華麗なクロス、「狙い通りです」

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[6.18 J1第16節 川崎F2-0広島 等々力]

 覚醒しつつある“和製大砲”が優勝戦線にランクアップさせた。川崎フロンターレのFW矢島卓郎が1ゴール1アシストと活躍し、今季初の2連勝に導いて5位から3位に浮上させた。

「今年連勝がなかったので、前節の大宮戦に大差で勝ったけど、気を緩めないように勝ち点3を取ろうと、みんなで話していた。勝ててよかったです」

 前節の大宮戦に5-0で勝利し、中2日で迎えた広島戦。ここまで等々力では2003年3月以来、アウェー戦を入れても2005年4月以来負けていない相性のいい相手だったが、立ち上がりから積極的に攻守で仕掛けて行き、主導権を奪った。そして前半35分、矢島がスーパーなプレーで1点をもぎ取った。

「ニアを狙っていた。小宮山とは練習からああいうところに欲しいと言っていたので。トレーニングからやっている形です。蹴った場所? 右のアウトサイトです。狙い通りです」。左サイド、小宮山尊信の速いクロスに、矢島がニアに飛び込んだ。右足のアウトという難しい場所でボールをとらえ、ゴールネットを揺らした。2試合連続の今季4得点目で1-0リードをもたらした。

 スーパーゴールのあとは、華麗なアシストだ。後半13分、左サイドでDF菊地光将からのパスを受けると、ドリブルで縦に突進し、利き足とは逆の左足でクロス。ファーサイドにオーバーラップしていた菊地のヘディング弾を導いた。「誰かいるのは見えたけど、誰かは分らなかった。まさか菊地とは」と笑顔の矢島。菊地の走りも素晴らしかったが、クロスの精度も大型ストライカーとは思えない綺麗な弧を描いた。

 和製エースの奮闘で、チームは今季初の2連勝。5月7日の神戸戦(ホームズ)での負けを最後に4勝2分と6試合負け無しで、順位も3位に上がった。矢島は「今年やっている全員で走るサッカーができている」と胸を張る。MF稲本潤一も「相手よりしっかり走れているのが勝因。11人でしっかりと守備ができている。奪ってから前へ行くときの速さも出てきている」と相馬直樹監督が求める攻守でアグレッシブなサッカーが展開できていることが好調の要因だと説明した。

 MF中村憲剛も「開幕してから3ヵ月。はまってきたというイメージがある。新しい監督になって、すぐに上手くはいかないけど、開幕から10試合を超えて見えてきたところがある」と“相馬サッカー”の浸透に手応えを口にした。この日はFWジュニーニョのほか、怪我明けの憲剛もベンチスタートだった。そんな中で勝ちきっているのは、チーム力が上がってきている証拠だ。

「前線でチャンスが増えてきている。きょう自分がゴールを決めたけど、チャンスが増えてきている分、もっとゴールを取らないといけない」と矢島はさらなるゲットゴールに意気込む。次節は22日で、矢島にとって古巣の清水との対戦となる。「移籍してきて、まだスタメンで出たことがない。楽しみです」と和製大砲は早くも気合十分。さらなる上位進出のため、矢島が最前線で川崎Fを牽引する。

(取材・文 近藤安弘)

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