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日本人離れしたFW矢島、日本代表入りへ代表の先輩3選手が“助言”

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[6.18 J1第16節 川崎F2-0広島 等々力]

 川崎フロンターレのFW矢島卓郎が広島戦で1ゴール1アシストの活躍を見せた。ゴールは、左サイドからの速いクロスに飛び込んで右足アウトサイドで沈めるスーパーシュートで、アシストは、利き足とは逆の左足ながら綺麗なクロスで、大型ストライカーとは思えない柔らかさも示した。

 今季、怪我で出遅れたFWジュニーニョに変わり、川崎Fのエースに君臨。ここまで“和製大砲”として4得点をマークしている。数字的にはまだまだだが、182cm78kgの大柄な体格や日本人離れしたフィジカル、相手をなぎ倒すような馬力は、昨夏まで川崎Fに在籍したFW鄭大世をほうふつさせる。潜在能力は誰もが認めるストライカーだが、果たして日本代表入りはあるのか。またどうすれば代表入りできるのか、この3人に聞いてみた。

 Jリーグ屈指の点取り屋で、広島の元日本代表FW佐藤寿人は「いつ代表に呼ばれてもおかしくないと思う。前からいい選手だと思っていたけど、今日対戦して、改めていい選手だと思った。体の強さが凄いです」と日本代表入りは“秒読み”と予測した。佐藤は、体格はもちろん、少々のマークではびくともしない体のバランス感覚に着目したという。

 川崎Fのチームメイトで、欧州をはじめとした世界的なストライカーと数多く対戦しているを元日本代表MF稲本潤一は「今のパフォーマンスを継続できたら、代表に呼ばれる可能性はあると思う。矢島は遼一(前田遼一)にも負けないくらいの能力を持っている。点を取り続ければ、監督も見てくれるはず」と評価。一方、さらに“覚醒”するためには「(ポストプレーの際の)パスの選択肢を増やすことだったり、ゴール前での判断力が上がってくれば、代表は遠くないはず」と注文も付けた。ゴール前でのふてぶてしさや、老獪さが出てくればなおよし、といったところだ。

 川崎Fの司令塔である元日本代表MF中村憲剛は「あんな日本人選手はいない。体が強いし、能力はある」としつつも、矢島に“足りない部分”があると指摘した。それはストライカーなら誰しもがあったほうがいいもの。憲剛は「ヤジはあとは、欲があれば」と指摘した。内に秘めた部分はわからないが、たしかに“表向き”は大人しめの選手だ。この日も日本代表への思いを聞かれても「まだまだです」と話すにとどまった。憲剛の言葉を借りれば“欲”の部分は、たとえば李忠成や佐藤と比べた場合、少ないと言えるかもしれない。

 とはいえ、期待せずにはいられない。日本代表では現在、いわゆる本格的なCFとして、ポストプレーも空中戦も、ゴールに向かうプレーもこなせるのは、FW前田遼一(磐田)だけだろう。李忠成(広島)も候補だが、チームでは2列目をやっているように、真ん中にドンと構えるのではなく、動きながらゴールに迫るタイプといえる。そういう点で矢島は、規格外のフィジカルがあり、稲本の言うとおり、前田に迫る潜在能力もある。あとはいつ“覚醒”するのか、今後が楽しみな一人だ。

(取材・文 近藤安弘)

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