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浦和エジミウソン、中東オファー認める。「僕にとって、この試合が最後かもしれない」

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[6.22 J1第17節 浦和3-0福岡 埼玉]

 これがエースの意地だ。今季初めてスタメン落ちした浦和レッズのFWエジミウソンが、途中出場で1ゴール1アシストを記録。4月24日の名古屋戦(3-0、埼玉)以来となるリーグ戦10試合ぶりの白星に貢献した。

「ベンチも僕らの仕事の一つ。プレーすると思って、集中して待っていた。ベンチでは、僕の力をどう生かせばいいのか考えていた。結果に関してはすごく嬉しく思う。本当に良かった」

 後半26分、マゾーラに代わって途中出場すると、2分後にさっそくアシストを決めた。「ヤマからいいパスがきた。うまくはまった。しっかり決めてくれて良かった」。途中出場でボランチに入っていた山田暢久のパスに反応し、右サイドを得意のドリブルで突破。低く速いグラウンダーのクロスで2-0とするMFマルシオ・リシャルデスの追加点を導いた。

 そして後半46分には自らゴールを決めた。「柏木からのボールをトラップして、落ち着いて軽くちょんとボールに触って入れることができた。落ち着いて触れたからゴールを決められた」。同じく途中出場だったMF柏木陽介の左からのグラウンダークロスを受け、中央でトラップし、相手をかわして右足で押し込み、ダメ押しの3点目を決めた。スタメン落ちのうっ憤を晴らした。

 約2ヵ月ぶりとなる白星はリーグ戦今季2勝目で、順位も16位から14位に浮上した。エースは「二度とそれが起きないことを祈るだけ。2ヵ月近くずっと勝てなくて厳しい状況だった。けど、この勝利によって自信が生まれるだろう。このチームはこの位置にいるチームではない。このチームが本来いるべき位置に戻せると思う。みんなでできると信じている」とこの勝利で流れを変え、上位進出することを目標に掲げた。

 とはいえ、もしかしたらこの日のゴールは、エジミウソンによる浦和サポーターへの“別れの挨拶”になるかもしれない。この日の一部報道で中東のカタールへの移籍が持ち上がった。柱谷幸一GMは「問い合わせはあったが、まだ具体的な話ではない。正式オファー? そうではないです。契約は今年いっぱいまで残っている。移籍は(浦和側、相手側、エジミウソン側の)3者で話して合意しないといけない」と濁したが、エジミウソンは「僕にとって、この試合が(浦和での)最後になるかもしれない。僕の気持ちとしては残りたいが、クラブのフロントの決断は違うかもしれない」と移籍する可能性が高いことを明かした。

 エジミウソンによると、オファーが来ているのはカタールのアルガラファ。エースは「もし、浦和を離れることになったら、僕の気持ちは実際にはそうではないと知っていてもらいたい。僕はこのチームでプレーしたい。でもクラブ側がそれ(オファー)を受け入れたということは、そうせざるを得ないと思います。僕の気持ちとは逆だとしても、そうしないといけない」と語った。

 そして「本当にいい選手だと(クラブ側が)思っている選手だったら、オファーが来たら、そのチームのオファーにNGを出すと思う。それを受け入れるということは、僕は大事な選手ではなかったんだなという気持ちになった」と複雑な思いも吐露した。

 オファーについては柱谷GMによると、エジミウソンには代理人を通じて、つい先日伝えたばかり。「まだ正式オファーではない」とし、話し合いはこれから行うとしているが、言葉通りならエジミウソンは、クラブから必要とされていないと感じた部分があるため、このような思いを暴露したかもしれない。

「僕が証明できたのは、チームの状態が悪いこの2年間でも、得点王に近いところまでゴールが取れた。自分の仕事っぷりは、見せることができたと思う。3年半にわたって、このチームでプレーできたことは本当に感謝している。素晴らしい思い出ばかりが詰まっている。ただ、まだ何も決断は下されていないが、どういう結果になろうが、サポーターのみなさんから受け取った今までのことを感謝している」と話した。

 そして最後に「お金は幸せを運んでこない。夢を叶える力はあるかもしれないけど、幸せになれるとは限らない」と口にした。明確な証言は得られていないが、柱谷GMは「得点の部分は、ストライカーとしては物足りないところはある」とも話しており、条件が折り合えば、移籍が成立しそうな気配だ。

 クラブ側は今後、エジミウソン側の代理人やアルガラファ側と違約金などについて協議する方針。浦和は次戦25日は敵地で名古屋と対戦する。エースは「出られるなら試合に出たい」と話した。今後の動向が注目される。

[写真]ダメ押しゴールのFWエジミウソンは試合後に移籍の可能性に言及

(取材・文 近藤安弘)

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