beacon

鈴木に山田直に小島らベテラン&若手が奮闘し浦和が10戦ぶり白星

このエントリーをはてなブックマークに追加

[6.22 J1第17節 浦和3-0福岡 埼玉]

 浦和レッズが福岡を3-0で下し、4月24日の名古屋戦(3-0、埼玉)以来となるリーグ戦10試合ぶりの白星をつかんだ。順位もJ2降格圏の16位から14位に浮上。ペトロヴィッチ監督は「非常にいい内容だったし満足している。彼らはプロとしていい仕事をした。この勝ちは今後にものすごくつながると思う」と選手を称えた。

 苦しいチームに大きな先制点をもたらしたのは、ベテランの元日本代表MF鈴木啓太だ。後半8分、鈴木がゴール前やや右のマゾーラに縦パスを入れると、ゴール前へ突進。ボールはマゾーラから中央のマルシオを経由し、PA内を走る鈴木のもとへ。主将は落ち着いて右足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。今季初ゴールが勝利に大きくつながった。

「嬉しかった。僕が取れたことに意味があるんじゃないかと思う。先制点は絶対に欲しいと思っていたし、あのゴールはみんなで動いてスペースを作って決めたものだから、いっそう嬉しい。ここまで中盤がゴール前まで行けていなかったので、小島と話して、一人は前に行こうと思っていた」

 鈴木が充実した表情を浮かべた。連敗中は、失点を恐れるあまり、中盤がなかなか攻撃参加できなかったという。これに鈴木は気づき、この日は試合前からチャンスがあればゴール前に飛び出すことを決めていた。ゴール後は選手みんなで喜びを分かち合った。「年に1回くらいだから、みんな祝福しようと思ってくれたのかな」と頬を緩めた。

 ベテランと若き力が融合されての勝利だった。この日、エースのエジミウソン、中盤のダイナモのMF柏木陽介、ベテランDF山田暢久がスタメンを外れた。“主軸”を外して代わりに送り込んだのは助っ人のマゾーラのほか、今季初先発となったMF山田直輝、そして高卒ルーキーでJ初出場&初先発となったMF小島秀仁。山田直は攻撃的MFで、小島はボランチで奮闘し、勝利に貢献した。

 山田直は「負けられない試合だったし、勝ちしか考えていなかった。出るからには持ち味を出してやりたいという気持ちで入った」そうで、勝利に貢献したことには「今日は持ち味を出せなかったけど、少しでも勝利に貢献できたのはうれしい。守備もさぼらずにできた」。初出場で勝利に貢献した小島は「チーム一丸になって勝ち取った勝利だと思う。本当にうれしいし、幸せなことだと思う」とこちらも笑顔を見せた。

 流れに乗れないチームに指揮官が施した“荒治療”が成功した。若い力が奮闘しただけでなく、ベンチに下げられたエジミウソンが1ゴール1アシストで、柏木は1アシストを決めた。ペトロヴィッチ監督は山田直と小島について「練習でやっていることを自由に考えて、彼らなりのプレーをすることを期待していた。試合後に彼らが笑顔でいるのを見るとうれしい」と評価した。エースと柏木についても「交代で入った柏木、エジミウソンも高いモチベーションをもって仕事をしていたし、彼らはプロとしていい仕事をした」と称えた。

 次戦は25日に敵地で名古屋と戦う。4月の対戦では3-0勝利しているが、調子を取り戻しつつある前年王者が相手だ。鈴木は「自分たちは上に行くしかないし、勝ち点3を取り続けないといけない」と表情を引き締めた。ベテランと若き力を融合させて“強い浦和”を取り戻す。この勝利をきっかけに、連勝街道に入って上位浮上を狙う。

[写真]前節から大幅に先発を入れ替えた

(取材・文 近藤安弘)

TOP