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幻のゴールのあとの劇弾、10人の川崎Fが2点差追い付き鹿島とドロー

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[6.25 J1第18節 鹿島2-2川崎F カシマ]

 J1第18節は25日、各地で5試合を行い、カシマスタジアムでは2連勝中の鹿島アントラーズと3連勝中の川崎フロンターレが対戦した。鹿島は前半31分、FW田代有三の3戦連発となるゴールで先制すると、前半ロスタイムにもDF中田浩二が追加点。川崎Fは後半18分に退場者を出しながら同25分にDF田中裕介が1点を返すと、後半ロスタイムにFW小林悠が劇的な同点ゴールを決め、2-2で引き分けた。

 鹿島は前節の神戸戦(1-0)から先発2人を変更。左SBはDFアレックスに代わってDF新井場徹。また、MF小笠原満男がベンチスタートとなり、2試合ぶり先発の伊野波雅彦がボランチに入った。
 川崎Fも前節の清水戦(3-2)から先発が2人入れ替わった。出場停止のDF井川祐輔の代役はDF横山知伸。2列目ではMF田坂祐介に代わってMF中村憲剛が4試合ぶりの先発復帰を果たした。
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 立ち上がりは中盤でのせめぎ合いが続いたが、徐々に流れを引き寄せたのはホームの鹿島だった。前半15分、MF野沢拓也の右CKのセカンドボールをもう一度ゴール前に折り返し、オフサイドラインぎりぎりから飛び出した田代がフリーで至近距離から右足ボレー。しかし、シュートは大きく浮いてしまう。同17分にも右サイドをDF西大伍が深い位置までえぐって折り返し、FW興梠慎三が右足で狙ったが、DFに当たって惜しくもゴール左に外れた。

 劣勢の川崎Fにさらなるアクシデントが襲う。前半21分、横山が足を負傷し、担架で運び出されると、そのままDF薗田淳と交代。同23分にMF稲本潤一が遠めから狙い、ようやくシュートを放ったが、なかなか攻撃の形をつくれなかった。

 鹿島は前半25分、野沢の左CKから田代が打点の高いヘディングシュート。これはGKの好セーブに阻まれたが、同31分、ついに先制点を奪った。ハーフウェーライン付近のFKからDF岩政大樹が前線にロングフィード。これをPA内で胸トラップした田代がマークに来た薗田の前に体を入れて振り切ると、落ち着いて右足でゴールに流し込んだ。

 田代の3戦連発弾で先制した鹿島はその後も中盤でMF増田誓志が絶大な存在感を発揮し、ゲームを支配。川崎Fの反撃も単発で、危なげなく試合を進めた。そして前半ロスタイム、右45度からのFKのチャンスに野沢がゴール前にクロスを上げると、DFのクリアボールをPA内左45度から中田が豪快な左足ダイレクトボレー。これがゴール右上に突き刺さり、2-0とリードを広げて前半を折り返した。

 2点ビハインドを追う川崎Fは後半9分、MF中村憲剛のラストパスからFWジュニーニョがシュートを打つが、GKがセーブ。カウンターからピンチを招くと、薗田が後半11、14分と立て続けに警告を受け、退場に。数的不利に立たされた川崎Fは急きょ稲本を最終ラインに下げて対応したが、同18分、MF柴崎晃誠に代えてプロデビューとなるDF實藤友紀をピッチに送った。

 ジュニーニョが右サイドに出て中村と稲本がダブルボランチを組む4-4-1で反撃を狙う川崎Fは後半25分、稲本のスルーパスに反応したDF田中裕介がPA内右に走り込み、右足を振り抜く。これがニアサイドを破り、10人ながら1点差に追い上げた。

 鹿島は後半27分、田代と遠藤に代えてMF本山雅志とMF小笠原満男を投入。小笠原は伊野波とダブルボランチを組み、増田が2列目の左にポジションを上げた。本山がトップ下に入る4-2-3-1にシステムも変更。ベテランを入れてゲームを落ち着かせ、逃げ切りを図った。

 川崎Fは後半32分にMF山瀬功治に代えてFW小林悠を投入。鹿島も同36分、増田に代えてDFアレックスを同じ位置に入れ、互いに最後のカードを切った。10人ながら攻勢を強める川崎Fは鹿島を押し込み、相手陣内に攻め込む。

 後半44分、右サイドへのスルーパスから小林がシュート。GKが弾いたボールを稲本がヘディングで狙うと、ポストに当たった跳ね返りを小林が押し込んだ。ゴールネットを揺らし、副審の旗も上がらなかったが、稲本がシュートした瞬間、小林がオフサイドポジションにいたとして主審は得点を認めなかった。

 騒然とするピッチの中、川崎Fの選手たちは最後まで集中力を切らさなかった。後半50分、中村の左CKのこぼれ球を小林が蹴り込み、同点弾。今度こそ正真正銘の同点ゴールで川崎Fが2-2に追い付き、劇的ドローに持ち込んだ。

[写真]相馬直樹監督が笑顔で稲本潤一と握手する

(取材・文 西山紘平)

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