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[総体]東久留米総合、設立5年目で初の全国総体へ

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[6.25 高校総体東京都予選準決勝 國學院久我山1-1(PK3-4)東久留米総合 駒沢第2]
 
 平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技(秋田)の出場権2枠を懸けた東京都予選は25日、駒沢オリンピック公園第2球技場で準決勝2試合を行った。國學院久我山と東久留米総合との一戦は1-1からのPK戦の末、4-3で東久留米総合が勝利。東久留米総合がかえつ有明とともに東京都代表となることが決まった。

 前身の久留米高時代から通じて3度の全国選手権出場を決めている東久留米総合(07年設立)。久留米高時代を合わせて40年を超える歴史の中で“意外”にも初めて戦うという「全国総体代表決定戦」を劇的な形で制した。前半15分に國學院久我山FW山本哲平に先制ゴールを叩き込まれた東久留米総合は、ロングボールから東京都選抜の一員として昨年の千葉国体で日本一となっているFW佐々木翼やFW西田紘崇らを中心に反撃するがゴールが遠い。

 主導権を握っていたのは國學院久我山の方だった。巽豪と許瑛俊の2年生CBコンビを中心にボールを奪うと、MF小泉洋生や1年生MF富樫佑太らがボールを失わずに攻め続ける。東久留米総合にとってはPAまではボールを運ぶものの、一度奪われると技術の高い相手からなかなかボールを奪い返せない展開。後半開始からはMF鈴木雄大を投入し、4分には右サイドをえぐった鈴木の折り返しのこぼれ球から佐々木が決定的なヘディングシュートを放ったが決められず。逆にミスの少ない攻撃を見せる國學院久我山のエースFW右高静真や2年生FW山本にPAまで入り込まれた。

 それでも東久留米総合は後半32分、エースの一撃で同点に追いつく。西田が倒されて得たFKを直訴してキッカーを務めた佐々木が、ゴール正面左寄りの位置から右足を振りぬく。クロスバーを叩いたシュートの跳ね返りが横っ飛びしていたGKに当たり、幸運な形でそのままゴールへ。相手の堅守の前に追い詰められていた東久留米総合が試合を振り出しに戻した。

 同点ゴールを境に息を吹き返した東久留米総合に対し、國學院久我山は李済華監督が「ミスの少ないサッカーをしなければいけない。ゲームの中でパスが3本つながればチャンスになる。(きょうに関しては)ミスが多いし、シュートを打つ意識が少なかった」と説明したように、ミスでボールを失う回数が増えて攻めきることができない。

 一方、東久留米総合は39分にDF米倉翼の左足シュートがクロスバーを直撃。また右SBから前線へとポジションを移した多田和明が推進力となるなど、國學院久我山をゴール前に釘付けにした。だが延長後半終了間際に右サイドを打開した鈴木のラストパスに交代出場のMF片岡瞭星らが飛び込むもゴールを割ることができない。

 実力派同士の攻防戦は1-1で100分間を終了した。東久留米総合の齋藤登監督は「攻撃力はあるけれど決定力はない」と苦笑いしていたが、全国を懸けたPK戦で2年生GK野中優志が國學院久我山の1人目・右高のシュートをセーブ。4人全員が決めた東久留米総合は5人目の井上大のシュートがクロスバーを叩いた相手を振り切り、全国切符を勝ち取った。

 全国総体初出場を果たした東久留米総合の齋藤監督は「人工芝のグラウンドで練習量の確保ができている」とチームの環境に感謝。厳しいスケジュールも乗り越えた。東日本大震災の影響で3月12日から行う予定だった沖縄への修学旅行を中止した同校は、代替措置として3年生が今月22日から神戸へミニ旅行を行った。サッカー部の選手たちも参加。ただ甲子園球場近郊で朝練を行うなどコンディションを維持しつつ、リフレッシュに成功した選手たちは、同級生たちよりも1日早く帰京して行った前日練習を経て、大一番で力を発揮した。

 主将の佐々木は「(きょうは)引退したヤツとかみんな来てくれて力になった。2年前、1年前よりもチームがひとつになっていると思う。選手権では全国で勝てていないので全国で勝ちたい」。死闘を制して全国切符を獲得したチームは、初となる「夏の全国」での活躍に早くも思いを寄せていた。
 
(取材・文 吉田太郎)
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