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盛田が怪我を乗り越え、約1年7カ月ぶりのヘッド弾「気持よかった」

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[7.3 J1第2節 大宮0-1広島 NACK]
 試合後、敵地スタジアムに「モリタ・コール」が鳴り響いた。13日に35歳の誕生日を迎えるベテランは、照れくさそうに手を振った。サンフレッチェ広島のDF盛田剛平が、後半4分にCKから189cmの長身を活かしてヘディングシュート。リーグ戦では2009年12月5日の京都戦以来、約1年7カ月ぶりのゴールを奪って1-0勝利に導いた。
「めっちゃ良いボールでした。ほんとドンピシャで。浩司(森崎)と最近、ちょっと話し合ってた。どこらへんに入って行くだとか、ここ何試合か話をしていた。来る場所は、ここらへんだなと入っていった。気持よかったですね。1年半以上ぶりですから」
 左からのCKの好機。MF森崎浩司の高精度のキックに盛田が合わせた。古巣のNACK5スタジアムでの復活弾。盛田はしみじみと自らのゴールを振り返った。
 苦難を乗り越えてのゴールだけに、これまでとは味わいが違った。昨年の開幕直前の3月4日に右足第五中足骨を骨折。すぐに手術をしたが、復帰を急いだこともあり、8月に不運の再手術。結局、プロ入り後初めて1試合も試合に出場することなく、シーズンを終えてしまった。「もうボールを蹴られないとか、そう思った時もありますね。試合をテレビで見て、この舞台に早く戻りたいなとずっと思ってた」。年齢の問題もあり、モヤモヤとした気持ちで1年を過ごした。
 今季序盤も、再発を恐れて無理をせずに調整したため出遅れたが、DF水本裕貴の負傷離脱もあってベンチ入りをつかみ、6月11日の新潟戦で今季初先発。以降の5試合中3試合に先発し、持ち味の空中戦の強さを発揮してチームに貢献している。「チャンスが回ってきて、そこで自分の中でも結果を出したいと思ってやってきた」という。
 この日は大宮の猛攻を受け、シュート数は広島の5本に対して17本を打たれたが、粘り強く守った。ハイボールはほとんど競り勝った。後半26分には、自身のバックパスのミスからピンチを招いたが、何とか完封に成功。盛田は「チームメイトにナイスバックパスと言われてた? 聞こえてましたか。ほんと良かったです、入らなくて」と苦笑いを浮かべつつも、「しっかりトレーニングは積んできたつもり。今のところ、足がつっていないのが成長かなと思う」と怪我をする前より、体力面が充実していることを明かした。
 ただ、これに満足するつもりはない。「きょうは90分、我慢のしっぱなしだった。こうやって1-0で勝てると、どんどん上に上がっていけると思う。これで終わりではない。しっかり結果を出していきたい」とベテランは表情を引き締めた。広島の目標は、再びACLの出場権を獲得すること。もちろん、その先の優勝も目指している。この日の勝利で4位に浮上したが、悲願のリーグ制覇に向け、ベテランが縁の下の力持ちのごとく支えていく。
(取材・文 近藤安弘)

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