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PKセーブの西川は50完封を達成、「記録とか名前を残していきたい」

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[7.3 J1第2節 大宮0-1広島 NACK]

 決勝弾を決めたベテランの盛田とともに、この男もヒーローになった。敵地に響く「シュウサク・コール」が気持よかった。サンフレッチェ広島の日本代表GK西川周作がPKストップに成功し1-0完封に貢献。節目の自身J通算50完封を成し遂げた。

「前半から押し込まれる場面があったんですけど、全員が守備意識が強かった。前回(G大阪に)5失点やられてるんで、無失点というのは試合前から口癖のように言っていた。PKに関しては切り替えて、ボールに集中して飛ぶことができた。みんなに迷惑を掛けたくなかったので、絶対に止めてやろうと思った」

 0-1の後半17分、スルーパスに飛び出し、FW石原直樹と交錯。西川のファウルと判定され、PKを献上してしまった。やっとの思いでベテランDF盛田がセットプレーで先制点を奪ったばかりだった。「ボールに触れなかったので、仕方がない。あの判定は妥当だと思う」。守護神は即座に悔しい気持ちを封じ込め、PKに集中した。キッカーは大宮のエースFWラファエル。しかし、ひるむことはなかった。

「ボールしか見ていなかった。そうすればフェイントにも引っかからないので。PKの情報は頭には入れているつもり。それがすごく成功した」。ラファエルのキックは、データ通りに自身の右に飛んできたという。コースは良かったが、しっかりとパンチングで弾き出した。西川は「蹴る前から決めていた。こっち(自分の右)に蹴ってくるだろうなと思ってた。常に試合を見てて良かったなと思います」としてやったりの表情を浮かべた。

 PKだけでなく、この日は大宮に広島の3倍以上の17本のシュートを打たれるなど攻めこまれたが、西川がしっかりとDFラインを統率し、ゴールに鍵をかけた。ハイボールはもちろん、後半12分には大宮MF東慶悟のフリーでのシュートを好セーブするなど、日本代表の名にふさわしいセーブを連発。前節のG大阪戦の5失点大敗の無念を晴らした。ペトロヴィッチ監督も「今日は彼が取った3ポイントだと評価していい」と褒めちぎった。

 結果、J1通算166試合目で50分完封を成し遂げた。約3試合に1試合というハイペースで積み重ねている。とはいえ西川は「きょうに関しては、記録は意識はしてなかった。しないほうがうまくいくのかなと改めて思いました。また新しいスタート。ナラさん(楢崎正剛)が一番完封してる。その記録に向かって、一つずつ、次の試合から増やしていきたい」とまだまだ通過点であることを強調した。

 そして、「ナラさんは常に安定している。ああいうGKになりたい。サッカー選手として、記録とか名前を残していきたいと思います」と今後の目標を口にした。すでにJを代表する守護神だが、まだ25歳と伸びしろの多い西川。楢崎や川島永嗣ら前を走る先輩に負けじと、Jリーグでもっともっと存在感をアピールする。

(取材・文 近藤安弘)

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