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「原口ゾーン」から決めた弾丸ミドル、指揮官も「早くA代表に」と絶賛

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[7.13 J1第4節 浦和2-0川崎F 埼玉]

 右足に気持ちを乗せた。FW原口元気の弾丸ミドルが浦和レッズに勝ち点3をもたらした。0-0の後半12分、左サイドでボールを持ったMF山田直輝から横パスを受けた原口はドリブルで中に切れ込み、右足を一閃。「距離もあったので、ストレートで速いボールを意識した」という目の覚めるような弾丸シュートが右のサイドネットに突き刺さった。

「原口ゾーンですね、あれは」。試合後のミックスゾーン。原口の笑みは絶えなかった。ゴール直後、またもペトロヴィッチ監督と熱い抱擁をかわしたことを聞かれると、「左サイドだから(ベンチと)近いんですよね。近くで目に入ってくるから」と笑った。「一番喜んでるので。行くつもりはないんだけど、目に付くんですね」と冗談めかして言った。

 前半のシュート数は0本対8本。完全に川崎Fが支配した45分間だった。後半に入っても、なかなか流れは変わらず、後半5分のFW田中達也のシュートが初シュート。原口の先制点はチームとしても2本目のシュートだった。

 苦しい流れを一気に手繰り寄せたのが原口の一撃だった。ペトロヴィッチ監督は「元気のゴールが試合を決めた大きなターニングポイント」と絶賛する。その呼び水となったのが先制点の直前、後半10分に投入された山田直だった。

 トップ下の位置に入った山田直は攻守に動き回り、スペースに飛び出してはパスを呼び込み、攻撃の起点となった。先制点の場面は山田直が左サイドに開き、入れ替わるように中央に流れた原口にラストパスを通した。

 原口は「パスがいいスピードで足元に入って、そのおかげでDFを一人かわせた。それでシュートまでスムーズにいけた」と感謝する。浦和ユース時代からの黄金コンビで奪った決勝点。「ユース時代を思い出すようなプレーだった」と原口が言えば、山田直も「そのまま前に行って、シュートを打ってくれと。イメージ通りだった」と胸を張った。

 原口にとっては2試合ぶり今季6得点目だったが、チームの勝利に結び付いたのは今季初ゴールとなった4月24日の名古屋戦(3-0)以来。自分のゴールでチームも4試合ぶりの勝ち点3を手にし、喜びも倍増だった。

「気を抜いたら、また決められなくなる。1試合1試合、上を目指してやらないと。まだまだ成長したいし、まだまだ改善の余地がある」。貪欲に語った20歳について指揮官は記者会見で「原口元気は素晴らしい選手。早くA代表に入るべきだと思う」と明言し、ザックジャパン入りを後押しした。「でも、まだまだだと思うので……」。原口自身は謙虚な姿勢を崩さなかったが、今、Jリーグで最も“危険”なアタッカーの一人であるのは間違いない。

(取材・文 西山紘平)

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