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決勝弾の北嶋が思いを吐露、「味方のミスから失点……助けてあげたかった」

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[7.13 J1第4節 柏3-1広島 柏]

 ただの決勝弾ではなかった。まさに大黒柱。仲間を救うためにゴールを決めた。柏レイソルのFW北嶋秀朗が、ホーム広島戦の後半10分、ゴール前の混戦からMF澤澤昌克のドリブルミスを拾い、右足を一閃。2-1と逆転に導くゴールを挙げた。これが決勝弾となったが、ベテランらしい思いがあった。

「味方のミスから失点という感じだったので、そういうときに助けてあげられる選手でいたかったし、そういうときに力を発揮したいと常に思っている。助けられてよかった」

 前半7分、DF増嶋竜也がロングボールの処理を誤り、FW佐藤寿人に奪われて先制ゴールを決められた。最前線でこれを見た北嶋は心に決めた。“点を取って帳消しにしよう”と。もちろん、普段からゴールへの執念はあるが、一層、エンジンがかかった。

 前半10分にMFレアンドロ・ドミンゲスのFKで1-1となったが、エースの“増嶋を救う”という気持ちは冷めなかった。後半10分、左サイドからFW田中順也がゴール前へ放り込み、広島DF森脇良太がヘディングでのクリアをミス。これを澤が拾ってPA内に仕掛け、ドリブルが大きくなって流れたボールを北嶋が拾う。落ち着いて右足で流し込み、ゴールネットに突き刺した。

「(澤に)パスなの? と聞いたら、ドリブルでかわしに行った結果だと言ってたんで、ミスだと思います(笑)」と北嶋は冗談を言ったあと、「ああいう簡単なシュートに見えるようで、DFがきちゃって、ゴールに張り付いているような感じは、緊張する。思い切りシュートを打つと当たったりするので、転がしたほうがいいなと。冷静に判断しました」と、してやったりの表情を見せた。

 7試合ぶり(出場4試合ぶり)のゴールで、今季通算6得点目。得点ランク9位タイとなった。トップはカタール移籍したFWアドリアーノ(前G大阪)の9得点で、北嶋のスコアは上々と言える。「ホントほっとしてます。ゴールを取れるか取れないかが、自分の評価だと思っている。良いプレーより、ゴールが欲しかった。ここで一つ、結果が出たんで大きいと思います」と安堵の表情を浮かべた。

 チームは5月28日の神戸戦(3-0)、6月11日の横浜FM戦(2-0)以来、約1ヵ月ぶりの2連勝。勝ち点を34に伸ばし、首位をキープしている。「大きい1勝だった。逆転できたのは大きいと思う。チーム力がないとできないことなので。精神的にも強くなっている証拠。すごく良かったです」。北嶋はチーム力がさらにアップしていることを実感している。

 次節16日は敵地で川崎Fと対戦する。「相手じゃなくて、自分たちがどれだけできるか。そこにベクトルを持って行って、自分たちと向き合っていきたい」。北嶋は“敵は我にあり”と力強く言い切った。この日は、仲間のミスを帳消しにすべくゴールを必死に目指したエースストライカー。33歳となったが、これからも最前線に立ち続け、柏の“優勝ロード”を牽引する。

[写真]決勝点を決めた北嶋

(取材・文 近藤安弘)

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