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憲剛&稲本が不在、矢島が負傷交代も……川崎Fが3-2で柏に競り勝つ!柏はあす首位陥落も

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[7.16 J1第5節 川崎F3-2柏 等々力]

 J1は16日、東日本大震災の影響で延期していた第5節の1日目を行った。等々力陸上競技場では川崎フロンターレと首位の柏レイソルが激突。点の取り合いとなった中、川崎FがFWジュニーニョの決勝PKで3-2勝利した。川崎Fは中村憲剛と稲本潤一が欠場した中、暫定3位に浮上した。一方の柏は勝ち点を伸ばせず。あす17日に横浜FMが大宮に勝てば、首位が入れ替わる。

 川崎FはMF中村憲剛が発熱で、MF稲本潤一が右膝痛のため欠場した。システムは4-4-2でGK相澤貴志、DFラインは右から田中裕介、井川祐輔、菊地光将、小宮山尊信。ダブルボランチは柴崎晃誠と田坂祐介が組み、2列目は右に山瀬功治、左に登里享平が入った。2トップは矢島卓郎とジュニーニョが組んだ。

 対する柏は前節と同じメンバー。システムもいつもの4-4-2でGKは菅野孝憲、DFラインは右から酒井宏樹、増嶋竜也、近藤直也、橋本和。ダブルボランチは栗澤僚一は大谷秀和が組み、2列目は右にレアンドロ・ドミンゲス、左に澤昌克が入った。2トップは北嶋秀朗と田中順也が組んだ。

 日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督も視察に訪れた注目のカード。そんな中、開始5分に川崎Fの和製エースが魅せた。左サイドから小宮山がグラウンダーのシュート性のキックを入れると、これがPA右の矢島卓郎の足元にピタリ。矢島は鋭い反転から左足を振り抜き、ゴールネットに突き刺した。代表入りが期待される男が6試合ぶりの5得点目で先制に導いた。

 柏は中盤で思うようにボールが奪えず、前線にボールが繋げない。押し込まれる時間が続き、苦しい展開となった。前半14分、左サイドの澤から中央の栗澤とつなぎ、最後は田中がスルーパス。これに北嶋が走り込んだが、その前にDFにカットされた。

 川崎Fが主導権を握った中、アクシデントが襲った。前半28分に矢島が足を痛めて担架で外に出され、同30分にFW小林悠と交代となった。緊急事態だったが、小林が周囲の心配を払拭するゴールを決めた。

 前半31分、右サイドで柴崎、山瀬とつなぎ、山瀬がPA内右の深い位置からグランダークロス。これがファーサイドの小林悠に通り、右足で押し込んだ。出場からわずか1分で、4試合ぶりの今季8得点目を決めて2-0のリードをもたらした。

 柏は前半38分、左サイドから仕掛けて最後は橋本がクロス。これにエース北嶋が飛び込んで得意のヘディングシュートを放ったが、わすかにオフサイドだった。前半は川崎Fが主導権を握り続け、2-0で折り返した。

 後半開始、川崎Fは柴崎に代えてDF實藤友紀を投入。實藤は右SBに入り、田中がボランチに入った。一方、柏は一気の2枚代えを敢行した。田中に代えてDFジョルジ・ワグネルを、栗澤に代えてMF茨田陽生を送り出した。システムが4-5-1に変わりワグネルは左MF、澤がトップ下、茨田がボランチに入った。

 後半4分、交代策が効いたのか柏が好機を作った。左サイド、深い位置でワグネルがクロス。これに北嶋が飛び込んだ。決められなかったが、らしさが発揮された。そして同9分、柏が1点を返した。右サイドでパスを受けた酒井宏樹が低めの速いクロス。北嶋ら攻撃陣が飛び込んだ中、クリアしようとした川崎FのDFに当たりオウンゴール。ラッキーな形で追撃に成功した。

 この得点で柏がリズムを取り戻し始める。得意のカウンターが少しずつ発揮されるようになった。後半23分にはワグネルの強引なドリブル突進から中央の北嶋にスルーパス。DFに体を入れられてシュートまでは行けなかったが、怖さを発揮した。

 そして後半26分、柏がついに同点に追いついた。サイドチェンジを受けた右サイドの酒井宏樹が低く速いアーリークロス。これをゴール前に走り込んだレアンドロ・ドミンゲスが右足ダイレクトでシュート。GK相澤の手を弾いてゴールネットに突き刺した。柏はU-22代表・酒井の2演出で2-2の同点に追いついた。

 川崎Fは前からのプレスがうまくはまらず、中盤のボール奪取で主導権が握れなくなった。守勢に回る時間が増える中、後半34分、柏がチャンスを作った。PA右でレアンドロがタメを作り、オーバーラップしてきた酒井にパス。酒井は再び低く速いクロスを入れ、これをニアに飛び込んだ北嶋が足を合わせたが、わずかに右に外れてしまった。

 後半34分、川崎Fが最後の交代カードを切る。登里に代えてFW久木野聡を送り出した。これが結果的に当たった。川崎Fは同39分、ジュニーニョのパスを受けた久木野がPA内左を仕掛けようとすると、柏DF近藤に倒されてPKを獲得。これを同39分、ジュニーニョが決めて3-2の勝ち越しに成功した。

 敵地とはいえ、あす17日に試合を行う2位の横浜FMとの勝ち点差が1のため、首位をキープするためには負けたくない柏。ロスタイムは4分。レアンドロの個人技や酒井のクロスに期待を寄せたが、川崎Fも粘り強く守った。激しい攻防が繰り広げられた上位決戦は、川崎Fが3-2で粘り勝ち。憲剛&稲本が不在の中、暫定3位に浮上した。

[写真]決勝PKを決めたFWジュニーニョ(10番)がサポーター席に飛び込む

(取材・文 近藤安弘)

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