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9試合ぶり出場の川崎F久木野が執念の突破で決勝PKを獲得

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[7.16 J1第5節 川崎F3-2柏 等々力]

 試合出場に飢えていた男が、その思いを“一瞬”にぶつけた。川崎フロンターレのFW久木野聡は2-2の後半39分、PA内左でジュニーニョからパスを受けた。「シュートを打とうと思った」というスピードスターは、ゴールを目指してドリブル突進。結果、柏DF近藤直也のファールを誘い、PKを獲得した。これをエースFWジュニーニョが決めて勝ち点3を獲得した。

「相手が食いついてきたのが見えた。シュートを打とうと思ったら、引っかかってPKになった。PK蹴りたかった? 蹴れないですよ。怖いです(笑)。ジュニーニョに“お願い、外さないでくれ”と。外したら(自分がPKを取った)意味がなくなるので、願ってました」

 “攻める姿勢”があったからこそもたらされたPKだった。首位撃破につながるプレーを見せた久木野は、満足そうな表情を見せた。後半34分、MF登里享平に代わってピッチに登場した。今季まだ先発はなく、5月29日のG大阪戦以来、実に9試合ぶりの出場だった。「2-2の同点になった瞬間、俺だろうと思っていました。監督には点取ってこいと言われた」という久木野は、すぐにエンジン全開。持ち味のスピードとドリブルを活かそうと、必死にボールを追った。左MFを任されたが、まるでFWのような位置取り。この積極性が実った。

「小林がいるんでね」。久木野は今季8得点目を決めたFW小林悠の活躍が刺激になったことを明かした。ともに1987年生まれで、今年24歳になる同級生。小林は大卒でプロ2年目だが、自身は高卒でプロ6年目。負けたくない思いがあった。何より、自身が活躍することで、選手層の幅が広がることを理解している。

「(途中出場で活躍できる選手が)一人よりも、もう一人いたほうがいい。相手にもプレッシャーがかかると思う」と久木野。今後はまだ決めていない今季初ゴールを決めて勝利に貢献したい思いが強い。これからもライバルと切磋琢磨しながら、自身の存在価値を高めていく覚悟だ。

[写真]決勝PKを獲得したFW久木野聡

(取材・文 近藤安弘)

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