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ドイツへ飛び立つ仲間に捧げた先制点、北嶋「祐樹のためのゴール」

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[7.23 J1第6節 柏2-1鹿島 国立]

 ドイツへ飛び立つチームメイトに捧げた。前半33分に先制点を決めた柏レイソルのFW北嶋秀朗は「(大津)祐樹をいい形で送り出したい気持ちが強かった。今日はそれに尽きます。祐樹を勝って送り出す一心でプレーした。祐樹のためのゴールです」と力を込めた。

 ボルシアMG(ドイツ)への移籍が決まり、明日24日に渡欧するMF大津祐樹。試合後にサポーターの前でセレモニーを行うことが決まっていた大津のためにも、絶対に勝ちたかった。

 その気持ちが通じたのが前半33分だ。右サイドでボールを持ったMFレアンドロ・ドミンゲスがアーリークロス。「何回もレアンドロからいいボールが来ていて、自分のコントロールを気を付ければチャンスになるなと思っていた。その前のパスのときに『胸トラップできたぞ』と言われて『分かった」って答えたら、言った通りのボールが来た」

 背番号10からのピンポイントクロスに対し、DF岩政大樹の背後から走り込んだ北嶋は胸トラップでボールを落とし、冷静に右足で流し込んだ。「後ろにうまくもぐり込めた。タイミング的にはいい形で中に入り込めたと思う。完璧なボール。決められてよかった」。2試合ぶり今季7得点目が貴重な先制点となった。

 後半12分にセットプレーから追い付かれたが、同35分にレアンドロが決勝点。前節・川崎F戦(2-3)の敗戦を引きずらず、勝ち点3をもぎ取った。今季は5敗を喫しているが、敗戦直後の5試合はこれで5戦全勝。連敗しない強さが快進撃を支えている。

「負けから必ず何かを学んで次に臨んでいるし、その一戦に対してみんなで共通意識を持てている。でも、負けて勝って負けて、というのが続かないように。勝ったことで学ぶことを続けていきたい」

 川崎F戦に敗れ、首位からも陥落。この日は先発4人を入れ替えた試合だった。「そういう試合で新しく入った選手がエネルギーを注入してくれたし、新しく入った選手の力を借りながら、彼らにもいい思いをさせてあげたかったし、彼らのためにも勝ちたかった」。今季福岡から加入したDF中島崇典が移籍後初出場初先発。DFパク・ドンヒョクは15試合ぶりに先発し、北嶋が2トップを組んだFW工藤壮人も4試合ぶりの先発だった。

 北嶋は「今日は自分のところでボールがおさまらず、チームにいいテンポを出せなかった。逆に工藤のところでおさめてくれて、今日は工藤に助けてもらった」と“相棒”に感謝する。初先発の中島も決勝点をアシスト。まさにチーム全員の力で勝ち点3をつかんだ。

 今年で33歳になった北嶋は、なでしこジャパンで女子W杯を制し、大会MVP&得点王にも輝いたMF澤穂希と同学年。「当然、かなり刺激になりますよ」と言うと、「同い年の選手は男子女子に関係なく気になるし、一緒に頑張ろうと、勝手にシンパシーを感じています」と笑った。柏を最前線で引っ張る33歳のストライカー。まだまだその勢いは止まらない。

(取材・文 西山紘平)

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