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[総体]被シュート2本で快勝!復活した「最強軍団」流経大柏が夏の日本一へあと2勝

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平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技(秋田)
[8.1 全国高校総体準々決勝 流通経済大柏2-0新潟明訓 男鹿総合運動公園陸上競技場]

 流経大柏、3年ぶりVへあと2勝――。秋田県内で開催中の平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技は1日、準々決勝を行い、男鹿市の男鹿総合運動公園陸上競技場で行われた第2試合では08年以来の優勝を目指す流通経済大柏(千葉2)と新潟明訓(新潟)が対戦。FW田上大地主将(3年)の3試合連続ゴールとU-18日本代表候補MF古波津辰希(3年)のゴールにより2-0で勝った流経大柏が、静岡学園と戦う準決勝(2日)へ駒を進めた。

 強い流経大柏が帰ってきた。近年、毎年のように全国上位へ進出し、Jリーガーを多数輩出してきた流経大柏は高校チームを代表する存在として認められてきた。だが、今年は高校年代の全国リーグである高円宮杯プレミアリーグイーストで前期9試合2勝2分5敗と低迷。特に前期最終節の尚志戦では1-5の完敗を喫するなど結果を残すことができていなかった。だがV候補の一角である大津を破って波に乗る新潟明訓と戦ったこの日は、相手をわずかシュート2本に抑えて完封勝利。強さを見せ付けて1月の高校選手権に続く4強へ勝ち上がった。

 立ち上がりはカウンターから注目FW羽田拓樹やMF小島夏輝をフィニッシャーとする新潟明訓のスピードある攻撃にラストパスを上げられる場面もあった。だが、前半13分、SB森一樹の右CKを頭一つ抜けた位置で合わせた田上が先制ゴール。DF登録ながら3戦連発の5ゴールを決め「みんながいいボールを上げてくれる」と振り返った主将の一撃でリードを奪った流経大柏はその後、完ぺきに近い守りで相手の攻撃を封じ込む。

 カウンター対策としてこの日通常の4-2-3-1システムから4-1-4-1システムへチェンジした流経大柏は、DFラインの前方に配置した佐藤恵祐が相手の縦パスをケア。また前線では田上やボランチからひとつ前のポジションでのプレーとなった古波津が、相手DFや中盤の選手を果敢にチェイスして満足なパスを出させない。

 流経大柏の本田裕一郎監督から「ここまで勝ち上がってきたのはフロックじゃない。戦術を徹底するということは大したもの」と評された新潟明訓は磨き抜かれた中盤、4バックのラインディフェンスで相手ボールを網にかけようとした。だが、局面局面での攻防戦で劣勢となり、次々と仕掛けてくるMF中村優仁とMF湯澤聖人の両サイドアタッカーの突破や、キック力の強さを活かしたサイドチェンジで簡単に展開を変えてくる流経大柏の攻撃をつかまえきれない。好守から攻撃に転じようとしたが、ボールを奪っても今大会DFの柱としてCBに君臨するU-18日本代表FW宮本拓弥の対人の強さなどに跳ね返されたチームは、前半をシュートゼロで終えてしまった。

 逆に流経大柏は後半7分、中村優の右アーリークロスに飛び込んだ古波津がダイビングヘッドでゴール右隅へ押し込み2-0。新潟明訓は直後の10分、MF梅沢拓磨のスルーパスから中央へ抜け出したMF小熊渚音が決定的な左足シュートへ持ち込む。また右サイドへ移動した羽田の突破力やMF山岸穂高のパスからチャンスをつかもうとしたが、試合の主導権は最後まで変わらず、流経大柏が2-0で快勝した。

 大敗した尚志戦の後には1回2時間の4部練習も敢行したという流経大柏。本田監督は言う。「走らないサッカーはない。動きながらプレーできる選手になるために徹底してトレーニングしてやった」。例年よりも明らかに多い敗戦から学んだチームは、空中戦の弱さなど課題を突き詰めて巻き返してきた。

 シーズン当初、「大学チームにも勝つチームを目指す」と高い目標を持ってスタートするほどの実力あるチームは変わった。田上主将は「2年のときは練習試合で負けなくて、みんな自信があったと思う。でもトップにいた宮本たちとやることがかみ合ってなくて機能しなくなった。でも失敗で学んできた。最初に負けを経験してきて、みんないろいろな思いがあると思う。それが今ひとつになりかけている」。

 また右足第5中足骨骨折の影響でプレミアリーグ全試合を欠場していた古波津の復帰も大きかった。まだ万全ではないものの、「みんなが『アイツはスゲェー』『もっと頑張らなきゃ』と思ってもらえるように、他の人の2、3倍頑張る」と声を出し、攻守両面で違いを生み出す背番号10・古波津。その存在がチームをさらに一段階向上させている。

 そしてチームは新潟明訓戦へ向けてぶっつけ本番に近い形で取り入れたシステム変更やアーリークロスを多様する攻撃も難なく対応。指揮官は対応力の高さを示したチームに対し「まだまだ潜在能力はある」と手ごたえを口にした。高い実践能力を示したほか、強さを見せ付けたチームの目標はもちろん優勝だけ。田上主将は「インターハイではまだ両校優勝しかない。この歴史を変えて単独優勝したい。一致団結して優勝したい」。ようやく本来の姿を取り戻した「高校最強チーム」が、敗戦から学んだ力を活かして全国の頂点を掴み取る。

[写真]後半7分、流経大柏MF古波津が2点目のゴール(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 吉田太郎)

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