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エジプト戦は仮想シリア、U-22関塚監督「どういうパフォーマンスができるか見極める」

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 A代表の日韓戦の前に行われるU-22日本代表のU-22エジプト代表戦。9月21日のマレーシア戦(ホーム)から始まるロンドン五輪アジア最終予選に向けて最後の強化試合となるため、非常に大事な一戦だ。会見を行った関塚隆監督は「(最終予選の)グループの中でもエジプトに近いシステム、タイプの国がある。一つのシュミレーションとして、個人、そしてチームとして、どういうパフォーマンスができるかしっかりと見極めていきたい」と話し、アフリカに属しながら中東に近いエジプトは、最終予選で戦う中東のチーム“仮想シリア”として位置付ていることを明らかにした。

 シリアとは11月27日(国立)と、来年2月5日(アウェー)に戦うが、エジプトは仮想敵国として、まさに最適の相手といえる。今回のU-22エジプト代表の世代は、日本が出場を逃した2009年のU-20W杯(エジプト開催)で、グループリーグでイタリアを倒すなどしてベスト16入りしたメンバーが主体。また、同年8月に韓国で行われた水原国際大会で激突し、当時のU-20日本代表は0-1の完封負けを喫している。会見に同席した原博実強化担当技術委員長も「(当時の大会に現代表の)全員が来ていたわけではないと聞いているが、何人か力のある選手がいて、その時のメンバーが今も続いてやっている」と説明した。

 仮想シリアとしてだけでなく、“最悪の事態”にも備えている。最終予選はグループ1位なら文句なしでロンドン五輪の出場権を得るが、万が一2位となった場合、各組2位の3チームが中立地で総当たりのプレーオフ(12年3月に開催)に回り、そこで勝ち上がった1チームがアフリカ4位チームとの大陸間プレーオフに挑む仕組みになっている。原委員長は「(エジプトが)アフリカの予選を勝ち抜いている。我々は、アジアでグループ1位になりたいと思っているが、プレーオフに回った場合は、アフリカ(の4位のチーム)とやる。そういういろんなことを考えてエジプトとやることになりました」と説明した。

 そのエジプト戦で、最も重要視しているのは、フィジカルコンタクトだ。関塚監督は「エジプトは一人ひとり、非常に1対1のコンタクトが強く、パワーフルで、力強いチーム。このへんに対して我々がどう戦えるか、しっかりと対応していきたい。1対1のところはグループで守るんですけど、そこの個の強さは、我々の年代では、攻撃のところも守備のところも、もっとしっかりと一人ひとりをたくましくさせていくことが大事」と掲げた。パス回しを主体として攻める日本は、相手もパスサッカーで来た際には攻略しやすいが、フィジカルの強さを前面に出した激しいサッカーでカウンターを仕掛けられると、一気に苦戦する。日本人にない身体能力が売りのエジプトと対戦することでもう一度、選手たちに“世界の当たり”に慣れて欲しい思いがある。

 フィジカルに加え、試合運びの上手さを身につけることもエジプト戦の目標という。関塚監督は「我々は(2次予選の)対クウェートのとき、1戦目は非常に我々の狙いとすることができた。しかし、アウェーでは、つまらない失点があったし、アウェーの環境の中で、どういう戦いをしないといけないかというのがあった」と主導権を得ているときは良いサッカーができるが、逆に劣勢な流れ、環境に置かれたときに、どのように戦うかが修正点となっていることを明かした。

 そして、「基本とすることは1戦目のスタイル(攻撃的なパスサッカー)をどう、成長させられるか。中盤でのしっかりとした狙いを持ったパスワーク、そこから崩しに入ること。そこをやるためにはカウンターを受けない、そこの対策も必要。また、逆に我々が攻められる場合もあるが、そうなったときに、ファーストブレイクの攻撃力のスピーディーさ、そのへんを90分の中でどうできるか。2つのスタイルのプレーというのをチームの中で浸透させることをしっかりやりたい」と、これまで追求してきたパスサッカーに加え、時にはショートカウンターを織りまぜた“幅の広い”サッカーを習得することを宣言した。

「トレーニングのほうは、来週の3日間と、そのあとも強化できるところは、しっかりと準備したい。協会とクラブとの話し合いで、何日間もてるか、今後やっていきたい。スケジュールを決めて、しっかりと1戦目、戦えるように準備していきたい」

 指揮官が明かすとおり、残された時間は非常に少なく、ロンドン五輪予選を勝ち抜くため、ただの1分でも無駄にはできない。今回、MF清武弘嗣(C大阪)がA代表に取られ、また、主将のMF山村和也(流通経済大)ら大学生3人のほか、アーセナルのFW宮市亮が招集できないなど万全の状態とは行かないが、関塚監督はエジプト戦でできる限りを尽くす。

(取材・文 近藤安弘)

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