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神戸・吉田が親友の松田さんに捧げる2発、浦和の無敗記録ストップ

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[8.6 J1第20節 浦和2-3神戸 埼玉]

 J1第20節は6日、各地で6試合を行い、埼玉スタジアムでは浦和レッズヴィッセル神戸が対戦した。神戸は前半14分、19分とFW吉田孝行が連続ゴールを決めると、浦和も後半から出場したFW田中達也、FWマゾーラのゴールで追い付いたが、後半ロスタイムにFW大久保嘉人が決勝点となるPKを決め、神戸が3-2で劇的勝利を飾った。

 2連勝中で8試合連続負けなし(4勝4分)の浦和は前節・川崎F戦(1-0)と同じメンバーながらMFマルシオ・リシャルデスとFW山田直輝がポジションを入れ替え、1トップのFWデスポトビッチの背後に右から山田直、マルシオ、原口元気と並んだ。
 神戸も前節・甲府戦(4-2)と同じメンバー、布陣で臨み、公式戦2戦連発中のFW吉田孝行とFWポポが2トップを組んだ。
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 立ち上がり、試合の主導権を握ったのは浦和だった。ボールポゼッションを高め、パスをつないで相手陣内に攻め込む。前半8分には左サイドから切れ込んだMF柏木陽介が左足で強烈なミドルシュート。これはGKのセーブに阻まれたが、積極的にゴールを狙っていった。

 神戸も高い位置から積極的にプレッシャーをかけ、浦和のミスを誘おうとする。カウンターからチャンスをうかがい、徐々に流れを引き寄せると、相手のミスを突いて立て続けにゴールを奪った。

 前半14分、縦パスに反応したMF朴康造がPA内右サイドに進入。GKも飛び出してきたが、ボールはゴール前にこぼれ、混戦の中、FW吉田孝行が蹴り込んだ。公式戦3戦連発となる先制点。吉田は右腕に巻いていた喪章を外し、天に向かってかざした。

「未だに信じられません。明日にでも電話がかかってくるのではないかと思うくらい、信じられません」。4日、元日本代表DFの松田直樹さんが急性心筋梗塞のため急逝した。クラブを通じ、すぐにコメントを発表した吉田は99、00、06、07年と横浜FM時代のチームメイトだった。そして、松田さんと同じ1977年3月14日生まれ。親友の急死にだれよりも心を痛めていた。

「もし、お互い生まれ変わるとしても、また同じ誕生日に生まれ、また一番の親友になり、また一緒にサッカーをしよう。直樹のサッカーに対する情熱は忘れません」

 天国の親友に捧げるゴール。前半19分には浦和守備陣の連係ミスからGK加藤順大のクリアが中途半端となり、こぼれ球を吉田が拾う。GKが前に出ていた無人のゴールに冷静に流し込むループシュート。美しい軌道を描いたボールがゴールネットに吸い込まれ、2-0と突き放した。

 反撃に出たい浦和は神戸のプレッシャーの前にミスを連発し、なかなかリズムに乗れない。前半22分、山田直の横パスを受けた原口がミドルシュートを放つが、DFが体を張ってブロック。同36分、PA内左サイドから狙ったマルシオのシュートも右ポストを叩き、1点を奪えないまま前半を折り返した。

 浦和は後半開始から山田直、MF鈴木啓太に代えてFWマゾーラ、FW田中達也を投入。マルシオがボランチに下がり、田中は右サイドに入る。前線はデスポトビッチとマゾーラの2トップで、システムも4-4-2に変更した。

 すると、後半立ち上がりの2分、マゾーラのボールキープからPA内でこぼれ球を拾った田中がドリブルで右に運んでDFをかわし、ゴールほぼ正面から右足でシュート。ゴール左隅に吸い込まれるボールにGKはDFがブラインドとなり、一歩も動けない。4月24日の名古屋戦(3-0)以来、18試合ぶりとなる田中の今季2点目で1点を返した。

 神戸は後半11分、吉田に代えてFW大久保嘉人をピッチに送り込む。大久保はキレのある動きでチャンスメイク。後半12分、大久保のスルーパスに抜け出したMF松岡亮輔が左足で強烈なシュートを放つもGKが好セーブ。同14分、再び大久保のスルーパスからポポが左足で狙ったが、枠を捉えられなかった。

 試合は攻守が目まぐるしく変わる激しい展開に。浦和は後半19分、田中の横パスからマゾーラが左足で強烈なシュートを放つが、GKの正面。同22分、神戸はポポのスルーパスに反応したMFボッティがPA内に切れ込み、GKもかわしてシュートを打ったが、角度がなく、ボールは惜しくもクロスバーに弾かれた。

 両チームが欲しかった次の1点を奪ったのは浦和だった。後半32分、右サイドからドリブルで仕掛けた田中がDFをかわして中央に流す。PA手前でパスを受けた柏木は鋭い切り返しでDFを振り切り、左足でミドルシュート。GKが前に弾いたところにマゾーラが素早く詰め、左足で蹴り込んだ。

 後半から出場した田中、マゾーラのゴールで2点差を追い付いた浦和は一気に逆転を狙うが、後半40分の原口のシュートはGKがセーブ。ロスタイムにはマゾーラが強烈なミドルシュートを放つもゴール上へ外れた。

 すると、神戸は後半47分、PA内に抜け出したMF田中英雄が倒され、PKを獲得。これを大久保が落ち着いてGKの逆を突き、ゴール右に流し込む。土壇場で決勝点を決めた神戸が3-2で競り勝ち、2連勝。一方の浦和は6月18日の清水戦(1-3)以来、9試合ぶりの黒星を喫した。

(取材・文 西山紘平)

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