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松田さんに白星捧げられず……横浜FMは柏に完敗。柏が4試合ぶりに首位浮上

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[8.6 J1第20節 柏2-0横浜FM 柏]

 J1第20節の1日目が6日に各地で行われ、日立柏サッカー場では2位の柏レイソルと首位の横浜F・マリノスが激突した。両軍の勝ち点差は2で、結果次第で首位が入れ替わる一戦だったが、柏が助っ人コンビのゴールで2-0勝利。4試合ぶりに首位に浮上した。横浜FMは、4日に急性心筋梗塞で亡くなられた“ミスターマリノス”松田直樹さんに白星を捧げたかったが、9試合ぶりの黒星を喫し、首位を明け渡した。

 柏はFW田中順也とMF大谷秀和、GK菅野孝憲が怪我で欠場。システムは4-4-2でGKは桐畑和繁、DFラインは右から酒井宏樹、パク・ドンヒョク、近藤直也、橋本和。ダブルボランチは栗澤僚一と兵働昭弘が組み、2列目は右にレアンドロ・ドミンゲス、左にジョルジ・ワグネルが入った。2トップは北嶋秀朗と澤昌克が組んだ。

 対する横浜FMは中盤がダイヤモンド型の4-4-2を採用。右SBには故・松田直樹さんと親交が深かったDF天野貴史が今季初先発した。GKはGKは飯倉大樹、DFラインは右から天野貴史、栗原勇蔵、中澤佑二、金井貢史。ワンボランチは小椋祥平が務め、2列目は右に中村俊輔、左に兵藤慎剛、トップ下に谷口博之が入った。2トップは大黒将志と渡邉千真が組んだ。

 元日本代表で、昨季まで横浜FMに所属していた松田直樹さんが4日に34歳の若さで死去。この試合は、柏のホームゲームだったが、試合前からスタジアムは悲しみに包まれた。横浜FMサポーターの中には、松田さんの代名詞と言える背番号「3」のユニホームを来てスタンドに陣取る姿が多数見られた。

 横浜FMサポーターは、スタンド上部に『ミスターマリノス 松田直樹 3 これからも俺たちと共に」と書いた横断幕を掲載。そのほか、『マツ・マツ・マツ』や松田さんが背負っていた背番号「3」の旗が掲げられた。柏サポーターもスタンド上部に『松田直樹の熱き魂を忘れない』と書いた横断幕を掲載した。多数の人が哀悼の意を表すと共に、松田さんの数々の功績を改めて賛えた。

 横浜FMの選手たちは、ウォーミングアップの際に全員、昨シーズンに松田さんが背負っていた背番号「3」の半袖ユニホーム(10年モデル)を着て実施。まさに魂を受け継ぐ思いで試合に向けて気持ちを入れていた。サポーターも「ナ~オ~キ!」と松田さんの応援コールを歌い、ミスターマリノスの魂と共に戦い抜くことを示していた。試合直前には両チームが円陣を組み、会場全体で黙祷を捧げた。

 そんな中、立ち上がりから積極的に前からプレスをかけに行った柏が先制に成功した。前半8分、ゴール前で横浜FMのパスミスを北嶋が拾ってスルーパス。これは相手にクリアされたが、兵働昭弘が拾ってレアンドロ・ドミンゲスにスルーパス。背番号「10」は右足を振り抜いてゴールネットに突き刺した。

 横浜FMは柏のパス回しとレアンドロやワグネルといった助っ人の個人技に苦しむ。しかし、栗原や小椋を中心としたDFラインが粘り、追加点を許さなかった。前半22分には柏の名手レアンドロにFKを直接狙われたが、GK飯倉大樹が好セーブで食い止めた。

 前半33分、横浜FMに好機が生まれた。ゴールからやや遠目の左サイドで得たFK。俊輔がゴール前に入れると、一度はクリアされたが、跳ね返りを再び横浜FM選手がゴール前に入れ、大黒が右足シュート。しかしこれはGK桐畑の正面を突いてしまった。さらに同41分には再びゴール前に放り込んだこぼれ球を谷口がゴール正面で反応し左足ボレー。だがこれも、GK桐畑の正面を突いてしまった。前半はそのまま柏の1-0で折り返した。

 後半も柏のペースで試合が始まった。同3分、ゴール前の混戦から最後は澤が正面から右足シュート。1点モノの場面だったが、GK飯倉のスーパーセーブ阻まれ、追加点を逃した。横浜FMは俊輔にボールを集め、その展開力を活かして攻めようとするが、なかなか決定機が作れない。後半15分、横浜FMは渡邉に代えてDFキム・クナンを投入、いつものようにFWに据えた。

 そんな中、柏が追加点を奪った。後半21分、右サイドの栗澤が中央のレアンドロにパス。司令塔は左サイドを駆け上がっていたジョルジ・ワグネルを見逃さなかった。PA左で受け取った助っ人はドリブルで仕掛けて左足を一閃。ゴール右に突き刺し、2-0リードをもたらした。柏は同24分、橋本に代えてDF中島崇典を入れた。

 横浜FMは後半25分に好機を作る。俊輔が天野のパスをPA内右で受けて切り替えし、左足で中へループパス。しかし、キム・クナンにはわずかに合わなかった。同29分にはゴール正面で兵藤が右足でシュートを放ったが、惜しくも左に外れた。横浜FMは同29分、金井に代えてMF松本怜を投入。今季初出場の松本を左MFに入れ、兵藤を左SBに下げた。柏は同31分、北嶋に代えてFW工藤壮人を入れた。さらに同33分、レアンドロ・ドミンゲスに代わり、MF茨田陽生を送り出した。

 横浜FMは後半35分、ゴール中央やや右でFKのチャンスを得る。キッカーは中村俊輔。狙い済まして左足を振り抜きゴール右を狙ったが、惜しくも右ポストを叩き、柏側にクリアされた。さらに同39分には俊輔の右足のパスをPA内右で栗原が頭で落とし、これに大黒が走り込んだが、柏守備陣に挟まれ、シュートに行けなかった。

 終盤、横浜FMは栗原を前線に上げてゴールを目指した。後半44分、横浜FMは俊輔に代えてMF長谷川アーリアジャスールを投入した。ロスタイムは4分。後半46分、小椋が前線にロングフィードを入れ、ゴール前の長谷川に通りかけたが、シュートには行けなかった。同47分、柏はゴール前を崩し、最後、澤がシュートを放ったが、決められなかった。同49分、横浜FMはゴール前の混戦からゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定に……。試合はそのまま柏の2-0で終了。柏が4試合ぶりに首位を奪い返した。

(取材・文 近藤安弘)

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