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フランサに負けん!横浜FCの難波が今季初ゴールで栃木撃破に導く

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[8.13 J2第24節 横浜FC2-0栃木 ニッパ球]

 ここまで12戦負けなしで3位と好調だった栃木を2-0で下す番狂わせを演じた横浜FC。ハマの真夏の夜に歓喜をもたらしたのは、0行進が続いていた背番号「9」だった。FW難波宏明が今季初ゴールを決めて栃木撃破を導いた。

「今まですいませんでした! しかし、今日からは違います!! 次の試合もまたこうして点を取って、みなさんと喜びを分かち合いたいです!!!」 

 お立ち台で難波が安堵まじりの笑顔を見せた。先発は7試合目、出場は14試合目となった栃木戦。ノーゴールという長いトンネルを抜け出したのは前半5分だった。PA内左に難波が進入し、後方から走り込んできたFWカイオにパス。これは栃木DFにカットされたが、PA内左のこぼれ球をMF野崎陽介が拾って縦に仕掛けてクロスを入れた。これに難波がニアに飛び込んで頭を合わせた。

「カイオに出してカットされたんで、自分で行けばよかったと思っていたら、野崎が拾ってくれた。野崎から良いボールが来たんで、当てるだけでした。日頃から、こういう形だと、こう入るからと話していた。初ゴール? ホッとしてます」。待ちに待った今季初ゴールに難波は笑顔を見せた。

 背水の陣という気持ちで挑んでいた。チームは昨季6位で、今季は昇格候補と思われていたが、スタートダッシュに失敗。ここまで17位と低迷していた。難波自身も大宮から加入したFW藤田祥史にポジションを奪われ、悔しい思いをしていた。難波に限らず、チーム全体が得点力不足に苦しんでいる中、11日に元ブラジル代表で柏レイソルなどでプレーしたFWフランサの加入が発表された。難波の尻に火がついたのは言うまでもない。

 この日は、ゴールだけでなく、持ち味の運動量でもチームを助けた。前線からボールを追い掛け回し、栃木のDFラインに思うようなビルドアップをさせなかった。後半18分に交代するまで、誰よりも走り続けたと言っていい。難波は「負けが多くて、チームを元気づけようと(走った)。元気づけるのも、自分の一つの役割だと思っている。先発でも途中でもそういう(動き回る)プレーをしていこうと思っている」とがむしゃらなプレーでチームを鼓舞しようとしたことを明かした。

 フランサはまだ調整不足で、この日はベンチ入りせず。だが、試合前にサポーターの前に登場し、「これからチームが勝てるように、しっかりと貢献していきたい」と挨拶した。サポーターからは期待を込めた声援を受けた。柏時代は“魔法使い”の異名を持ち、数々のスーパープレーを見せ、味方へのアシストもしてきた天才肌の選手で、サポーターの期待は高まっている。しかし、35歳と大ベテランの域にいある。難波は先発もスーパーサブの座も簡単に譲るつもりはない。「僕にしかできない、ハードワークする部分とか、常に自分の良さを出していきたい」と言い切った。

「今日が始まりです。これから取れるだけ、点を取りたい。今までで負けがこんでるんで、とにかく勝たないとダメ。何連勝とかではなく、常に自分たちのサッカーをして勝っていきたい」

 次は今季初の3連勝がかかるが、難波はそんな小さな目標は立てていない。目指すのはあくまでも昇格だ。まだ練習日数が少ないため断定はできないし、フランサが先発を掴めるかはわからないが、フランサのようなパスを出せるFWの相棒には、難波のように縦横無尽に走れるストライカーが一番マッチする可能性がある。横浜FCの今後の浮沈の鍵は、背番号「9」が握っているかもしれない。

[写真]ゴールを決めた難波にチームメイトが駆け寄る

(取材・文 近藤安弘)

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