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[SBSカップ]強豪連破のU-18代表に不安も

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[8・20 SBSカップ国際ユースサッカー U-18日本代表1-0 U-18オーストラリア代表 草薙陸]

 1993年早生まれのJリーガー、U-18年代各チームのエース級、そしてU-17W杯でベスト8へ進出した1994年生まれ初めて融合した今回のU-18日本代表。メキシコに4-1で快勝し、オーストラリアを1-0で退けたが、その戦いぶりにはまだまだ不安と課題が見られる。

 メキシコとの第1戦の前半は右サイドMF大島僚太(川崎フロンターレ)やMF熊谷アンドリュー(横浜F・マリノスユース)とMF深井一希(コンサドーレ札幌U-18)のダブルボランチなどがその高い技術でボールを支配していたものの、攻撃が中央に偏り、またスペースへの動きも少なかったことから行き詰まってしまう場面が多く見られた。

 その反省もあってかこの日のU-18代表は立ち上がりから2列目の近藤貫太(愛媛FCユース)や為田大貴(大分トリニータU-18)が相手ディフェンスラインの背後を狙い、右SB松原健(大分トリニータ)が再三オーバーラップを仕掛けるなど、その攻撃には精度と力強さとがあった。そして前半6分には中盤でインターセプトしてからSB山中亮輔(柏レイソルU-18)がディフェンスラインの背後へ絶妙なクロスを配球してFW南秀仁(東京ヴェルディユース)が先制ゴール。そのほかにも松原の右クロスにボランチの荒野拓馬(コンサドーレ札幌U-18)が飛び込み、オーバーラップした松原へ熊谷がスルーパスを通してその折り返しから為田が決定的なシュートを放つといった連動性の高い攻撃もあった。

 ただ中盤中央が3枚だった相手に4-4-2システムのダブルボランチが振り回されると、相手のサイドを警戒した攻撃も中央に偏って対人に強いDFに跳ね返されるなど攻撃が沈黙してしまう。吉田靖監督も「もうちょっと裏にいければチャンスもあった。後半は(相手がバテて)攻めれるようになったけれど、前半のあの守備を崩せるようにならないといけない」と厳しかったが、単調な攻撃で2点目を奪えなかったことは反省点だった。

 この2日間、攻撃が行き詰まった際、それに“はまって”しまう場面が散見されるU-18代表。南は「連係ですね。それぞれのいいプレーがどこか把握できていない。みんなでやっていかないといけない」と連係面の向上を課題に挙げる。確かに熊谷が「毎回徐々にチームとしての守備ができるようになってきている」と話すように、合宿の度に連係面は向上しているが、試合中ピッチ内での声が少なく、自分たちで悪くなった流れを改善できない。それだけに指揮官が「みんなで少しでもよくしていく姿勢がないと簡単にいかない。(アジア予選へ向けては)まずは強い気持ち。なんとしても世界へ行くんだという気持ちを持って臨めるか」と語る意識の部分の向上が必要。高いテクニックを生かして今大会では勝利を重ねているU-18代表だが、限られた時間の中で各選手がやらなければいけないことがまだまだある。

(取材・文 吉田太郎)

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