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[SBSカップ]石毛ロスタイム決勝弾!静岡ユースがU-18代表下し4年ぶりV

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[8・21 SBSカップ国際ユースサッカー U-18日本代表1-2静岡ユース エコパ]

 U-18日本代表、静岡県選抜に敗れる――。今秋にAFC U-19選手権予選を控えるU-18日本代表は21日、SBSカップ国際ユースサッカー大会(静岡)最終日に静岡ユース(静岡県高校選抜)と対戦。MF大島僚太(川崎フロンターレ)のゴールで先制したU-18代表だったが、後半23分に静岡FW柏瀬暁(清水エスパルスユース)のPKによって同点に追いつかれると、雷雨中断を挟んで迎えた後半ロスタイムにMF石毛秀樹(清水エスパルスユース)に決勝ゴールを決められて1-2で敗れた。2勝1敗のU-18代表は2勝1敗(1PK負け)の静岡を勝ち点で1点下回り、2位。静岡は07年以来4年ぶりの優勝を果たした。

 静岡の青い波がU-18代表を飲み込んだ。立ち上がりこそMF森川龍乃介(藤枝明誠高)にサイドを破られる場面があったものの、技術の差を示す日本はMF熊谷アンドリュー(横浜F・マリノスユース)中心にボールを支配。リスクを負うようなプレーはほとんどなかったが、それでも狙い済ました攻撃のスピードアップから決定機をつくり出す。前半12分には大島のスルーパスから左MF榊翔太(コンサドーレ札幌U-18)が中央へ折り返し、最後はFW南秀仁(東京ヴェルディユース)がゴールへ飛び込む。

 さらに15分には右サイドを抜け出した南の折り返しに榊が飛び込み、17分には熊谷の右足シュートがゴール右ポストをかすめるなどチャンスをつくり続けた。ただ、過去2試合でCBを務めていた木下高彰(浜松開誠館高)をボランチ起用して守備が安定した静岡はその後、攻められながらも決定的なシュートを打たせずに前半を守り切る。

 それでも日本は、強雨の中始まった後半の4分、中央でのパス交換から右サイドを抜け出した南がPAでの切り返しから左足シュート。これはGK岩脇力哉(ジュビロ磐田ユース)のビッグセーブに阻まれたものの、こぼれ球を拾った南が左後方の大島にパスを送ると、大島が右足ダイレクトでのループシュート。これがGK、DFの頭上を超えてゴールへと吸い込まれた。

 待望の先制点を奪った日本だったが、2点目を奪って試合を決めることができなかった。20分に右サイドをえぐったSB川口尚紀(アルビレックス新潟ユース)の折り返しから南が放った一撃はゴールマウスを直撃。そして試合を支配しながら、中盤のスペースを空けてしまうなど攻守のバランスを欠いたチームは29分、3トップへ変更して攻める静岡のカウンターを浴びてリードを失ってしまう。静岡はMF風間宏矢(清水商高)の縦パスで抜け出したFW柏瀬暁(清水エスパルスユース)がPAで粘りPKを獲得。これを柏瀬が自ら右足で決めて同点に追いついた。

 勢いに乗った静岡に対し、試合を支配しながら追いつかれた日本は主将の大島が「静岡にはチームとして自分たちにない団結力があった。失点しても『行こう、行こう』という声が出ていたけれど、自分たちは監督に言われてようやく声が出る状況だった」と振り返ったように沈黙。踏ん張り切れずに相手の勢いに飲み込まれてしまった。

 優勝するためには勝つしかない静岡はこの後、雷雨によって7分間の中断を挟んだ間も全く集中力切れなかった。そして迎えた後半ロスタイム、風間からのパスを右サイドで受けた石毛が「自分が決めるつもりだった」と右足を一閃。グラウンダーのシュートは濡れたピッチで加速し、そのまま逆サイドへのゴールへ突き刺さった。

 劇的な勝利を喜ぶ静岡の隣でがっくりと沈むU-18代表。吉田靖監督は「こういう試合を経験しながら徐々に安定していく。これをいい反省材料にして目標とするところを目指す」。一方、大会MVPに選出された静岡の風間主将は「これで勝てたら気持ちいいだろうな、と思っていた。うれしいです」。伝統のSBSカップ国際ユースサッカー大会は今大会限りで解散する静岡選抜の劇的な勝利で幕を閉じた。

[写真]優勝を喜ぶ石毛(右)ら静岡ユース
(取材・文 吉田太郎)

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