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[SBSカップ]「勝たなきゃ面白くない」勝利にこだわった静岡ユースが歓喜のV

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[8・21 SBSカップ国際ユースサッカー U-18日本代表1-2静岡ユース エコパ]

「もし負けたら、県選抜だから、寄せ集めだから勝てないとか言われてしまう。勝たなきゃ面白くない。だからチームの規律をつくって勝つサッカーをして結果を出そうとした」。主将のMF風間宏矢(清水商高)はそう振り返ったが、静岡ユース(静岡県高校選抜)は勝つためのサッカーにこだわって優勝を勝ち取った。

 国体がU-18世代の大会だった05年までは国体静岡県選抜の強化の一環として行われていたSBSカップだが、国体がU-16世代となった現在、静岡県選抜の選手にとってはJリーグや大学のスカウトへのアピールの場として持つ意味合いの方が大きい。それでも“サッカー王国”静岡の選手は年代別日本代表に近い位置にいる選手も多いため、それぞれが別の目標を持っていても各代表チームからゴールを奪ったり健闘することができていた。

 ただ3年連続のSBSカップ出場となる風間は過去2年の戦いで「去年も一昨年もいい選手はいた。でもチームとしてバラバラなところがあった。だから結果が出せなかった」と感じていた。だからこそチーム一丸となることを主張し、今年は勝つことにこだわった。そしてその思いに応えてくれた“急造チーム”のチームメイト。U-18オーストラリア代表を3-1で撃破し、U-18メキシコ代表とも3-3の打ち合いを演じたチームはこの日、U-18日本代表に押し込まれながらもあきらめない。自陣に下がって辛抱強く守り、3トップにして攻めた後半も一人ひとりが攻守の切り替えなど手を抜かずに走り続けた。

 増田裕監督は「代表は疲れていましたよ。合宿で2部練習をしてきていましたし」と首を振ったが、それでも後半4分に先制されて1点リードされている静岡が時間が経つにつれてどんどん勢いを増す。28分にFW柏瀬暁(清水エスパルスユース)のPKで同点に追いつくと、それまで高い精度を誇っていたU-18代表が乱れていくのを感じられた。その中でゴールを狙い続けた静岡は、後半ロスタイムにMF石毛秀樹(清水エスパルスユース)が決めたファインゴールによって試合をひっくり返した。

 試合後、格上撃破をチーム全員で喜んだ静岡イレブン。個人個人のレベルは相手を下回っていたが、それでも「勝利して終わらないといけない」と一丸になって戦い、目標を達成した。自信を増したイレブンはこれから各所属チームに戻り、高円宮杯や高校選手権に備える。

(取材・文 吉田太郎)

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