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[SBSカップ]U-20W杯予選開幕まであと2ヵ月、U-18代表は屈辱の逆転負けを糧に成長を

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[8・21 SBSカップ国際ユースサッカー U-18日本代表1-2静岡ユース エコパ]
 
 県選抜チームにあたる静岡ユースに1-2で逆転負け。U-18メキシコ代表に4-1で快勝し、U-18オーストラリア代表戦も試合を支配しての1-0勝利とここまで好結果を残してきたU-18代表だったが、チームは隙を突かれて優勝を逃した。

 3連勝での優勝を狙った静岡戦。MF熊谷アンドリュー(横浜F・マリノスユース)中心とした中盤が圧倒的なパスワークで静岡にボールを触らせない。ディフェンスラインが下がり、ほぼ自陣に釘付けとなった静岡を攻め立てた。ここで1点を奪っていれば、展開は変わったかもしれない。ただ前半を守りきられてしまったことで静岡に勇気を与えてしまった。

 後半4分にMF大島僚太(川崎フロンターレ)が鮮やかな右足ループシュートを決めて先制したものの、その後FW南秀仁(東京ヴェルディユース)のシュートがゴールマウスを叩くなど攻め切れなかったチームは、PKで同点ゴールを献上すると「みんなシュンとしてしまった」(DF川口尚紀)と沈黙。SB山中亮輔(柏レイソルU-18)は「試合前にも受けるんじゃなくてチャレンジャーに、と言われていた」と説明するが、次々と投入された交代選手も気持ちの部分で沈んだチームを活性化できずにいると、1-1でも優勝の決まる後半ロスタイムにMF石毛秀樹(清水エスパルスユース)に決勝ゴールをねじ込まれた。

 DF槙野智章、MF柏木陽介、DF内田篤人らいわゆる「調子乗り世代」を擁して05年U-20W杯でベスト16へ進出している吉田靖監督だが、現在のチームについては「大人しい子が多い。大人しいから選んでいるという訳ではないですが」と分析する。この日はMF大島僚太(川崎フロンターレ)、CB相馬大士(柏レイソル)、GK櫛引政敏(清水エスパルス)と3人のJリーガーが先発し、プレーでチームを引っ張っていたが、彼らを含め、失点してチームを盛り上げるべき場面で鼓舞する声が出なかった。

 今大会、速攻と遅攻、中央突破とサイド攻撃とを使い分けた攻撃で相手を攻略するなど、Jで経験を積んでいるタレントやU-17W杯で世界8強へ進出選手たち中心に強豪に連勝した一方、U-18代表はパスの意図が合わないなど連係不足を感じさせる部分が多く見られた。加えて、この日はあきらめずに一丸となって勝利を目指した静岡ユースユースから、選手間の声、コミュニケーションの部分も向上させなければならないことを痛感させられた。吉田監督は「まだ安定した戦いをすることができない。こういう試合を経験しながら徐々に安定していく。繰り返しながら徐々にステップアップしていくことが大事」。

 チームは22日からメンバーを大きく入れ替えてカタール遠征へ出発。その後、9月には13年のU-20W杯へ向けたAFC U-19選手権予選(10月)の行われるタイで合宿を行い第1関門に備える。韓国、タイ、台湾、香港、そしてグアムと戦う予選へ向けて指揮官は「難しい組み分け。下手したらアウトの気持ちでやっている。(きょうの敗戦を)いい薬にしなければいけない」。格下相手の敗戦で「甘くない」ことを知ったチームはこの日から大きく姿を変えてアジア1次予選を迎える。

(取材・文 吉田太郎)

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