beacon

1得点1起点の俊輔が左膝靭帯損傷、27日の清水戦は欠場へ

このエントリーをはてなブックマークに追加
[8.24 J1第23節 横浜FM2-1C大阪 ニッパ球]
 怪我を恐れずに飛び込んだ。勝利への執念が、ゴールという結果につながった。横浜F・マリノスの元日本代表MF中村俊輔が“捨て身のシュート”でC大阪戦の2-1勝利、そして3位浮上に導いた。
 1-0の前半44分、ゴール前でFW小野裕二の横パスに俊輔が走り込んだ。C大阪の元日本代表DF茂庭照幸も反応し、右足を振り抜いた中、俊輔も左足で応戦。結果、俊輔の左足に当たりゴールネットに突き刺さった。司令塔の8試合ぶりの今季3得点目で2-0。これが結果的に決勝点となった。
「内側靭帯を痛めた。持って行かれた? そう。内側(靭帯)は昔、日本代表で(テーピングを)巻きながらやってたところだから、その感覚でやればできるけど、ちゃんと治してからかな……」
 歓声でうめき声はかき消されたが、大きな“代償”が待っていた。このゴールの際、俊輔は左膝の内側側副靭帯を痛めた。シュートの場面。茂庭によると、茂庭がクリアしようと思いきり右足を振り抜き、先に茂庭がボールを蹴ったが、これが俊輔の左足に直撃した。「足を蹴ってはいないです。俺が蹴ったボールが足に当たって入った。バチンという音がした」(茂庭)という。俊輔はすぐさまピッチ上に倒れ、顔を歪めた。
 一度はピッチの外に出たが、前半の残り、ロスタイムを含めて数分間プレーした。だが、後半開始のピッチに俊輔の姿はなく、FW渡邉千真と無念の交代となった。横浜FMの工藤敏治ドクターは試合後、「内側を痛めました。ちょっと伸ばした感じ。腫れがひいてから検査します。次の試合? 土曜日はしんどいですね」と説明。俊輔が27日の清水戦に間に合わないことを明言した。
 6日の柏戦、13日の神戸戦といずれも0-2で連敗し、20日の磐田戦は、俊輔を右MFからトップ下に回す新システムで1-0勝利した。この日のC大阪戦も“トップ下・俊輔”を継続。ゴールだけでなく、前半15分のMF兵藤慎剛の先制弾の際は、俊輔が起点となった。FW小野裕二の右クロスを兵藤が決めた形だが、俊輔が右サイドを仕掛け、DF茂庭の股を抜いてPA内に走り込んだ小野にパスを通している。
 まだ全治は不明だが、首位奪還を狙う上で、俊輔がただの1試合でも不在となるのは痛い。この日も俊輔が不在となった後半は、攻撃の形が作れず、C大阪に押された。木村和司監督も「今日は楽な采配になるかと思ったが、どんどん苦しくなっていった。俊輔が2点目を取ってくれたのは良かったけど、そこからのゲーム展開があまりよくなかった」と俊輔不在時の戦い方を悔やんだ。27日の清水戦は、最初から俊輔は不在となる見通し。優勝に向け、まさにチームの底力が試される。
(取材・文 近藤安弘)

TOP