beacon

“ウズベクキラー”が値千金の同点ヘッド、岡崎「逆転できなくて残念」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[9.6 W杯アジア3次予選 ウズベキスタン1-1日本 タシケント]

 “ウズベクキラー”の一撃がザックジャパン初黒星の危機を救った。代名詞のダイビングヘッドが炸裂した。0-1で迎えた後半20分、DF内田篤人の右クロスに逆サイドから飛び込んだFW岡崎慎司(シュツットガルト)が体を投げ出しながら頭でとらえる。豪快なダイビングヘッドは相手GKの手をかすめてゴールネットを揺らし、1-1の同点に追い付いた。

「あそこで待ってて、ギリギリだったけど、相手が弾いてくれてよかった」。脳裏をよぎったのは2年3ヵ月前のゴールだった。南アフリカW杯出場を決めた昨年6月6日のアジア最終予選第6戦・ウズベキスタン戦。この日と同じパフタコールスタジアムで行われた試合で1-0の決勝点となるゴールを決め、日本を南アフリカW杯に導いたのが岡崎だった。

「決めたときは“また頭か”とよぎった。でも、これで逆転できるという気持ちが強かった。逆転できなくて残念です」

 値千金の同点弾にも表情は浮かない。立ち上がりからウズベキスタンの勢いに押され、先制点を許すなどピンチの連続だった。FW本田圭佑不在のトップ下でMF長谷部誠が先発し、前半途中からはMF阿部勇樹をアンカーに下げる4-1-4-1にシステムを変更。後半開始からはFW清武弘嗣を投入し、FW香川真司がトップ下に入る4-2-3-1に戻した。手を変え、品を変えて何とか流れを引き戻そうとし、結果的に引き分けに持ち込むことはできたが、トータルの試合内容では最後まで有効な手立ては見つからなかった。

「相手は失うものがない感じがあった。うちらは終始、焦りがあって、同点に追い付いてからもミスが多かった」。絶対的な存在である本田を欠き、アジア特有のアウェーの雰囲気に劣悪なピッチコンディションも影響した。全体が間延びし、日本らしいパスサッカーが影を潜めた。パスをつなぐのか、シンプルに裏を狙うのか。チーム内の意思統一も取れていなかった。

 本田は年内中の復帰は難しいとみられている。10月11日のタジキスタン戦(長居)、11月11日のタジキスタン戦、同15日の北朝鮮戦(いずれもアウェー)も本田不在で戦わなければならない。「いるメンバーでやらないといけないし、いないメンバーのことを考える余裕は今はないと思う」。岡崎は厳しい口調で言う。

「自分たちの形はこれだっていうのはまだ決まっていないと思う。パスサッカーにこだわらなくてもいい。若いチームだし、これから成長していく。アウェーの戦い方というのを認識せざるを得ないゲームだった」。理想を追い求めるだけでは勝てない。アジア予選は甘くない。選手たちがそれを肌で感じたことが、勝ち点1以上に価値ある収穫だったかもしれない。

(取材・文 西山紘平)

▼関連リンク
ブラジルW杯アジア3次予選特集

TOP